米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(65)は、なぜ27年間連れ添ったメリンダ夫人(56)と離婚したのか。その後、米有力紙2紙、ニューヨーク・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナルが競って社内の女性スタッフとの不倫疑惑を書き立てた。ゲイツ氏の社内不倫疑惑を相手女性の通報で知ったマイクロソフト社は2019年末に調査を開始したが、調査終了の直前、ゲイツ氏は役員を辞任している。ゲイツ氏は当時、退社の理由は夫人と共に立ち上げた慈善事業「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」の仕事に専念するためと述べていた。
そして5月18日、今度はゲイツ氏がノーベル平和賞を狙っていたという新説が報じられた。NEWSポストセブンでもリポートした「ゲイツ氏と少女売春組織のコネクション」を執拗に追ってきたデイリー・ビーストの特ダネだ。ゲイツ氏はそのために、ノルウェーのノーベル平和賞選考委員会に顔が利く欧州の億万長者、王族、政治家、科学者と交友関係を持つ売春組織のボス、エプスタイン元服役囚(2019年に自殺)に目を付けたというのだ。
デイリー・ビーストのカートライト記者は、ゲイツ財団の複数の元スタッフの証言をもとにこう報じている。
<エプスタインは世界中のエリートの「ローロデックス」(名刺帖のこと。転じて有力な人脈の意)を持っていた。ノーベル賞受賞者のフランク・ウィルチェックMIT教授、ジェラルド・エデルマン・ペンシルベニア大学教授、マレー・ゲルマン・カリフォルニア工科大学教授(故人)などと研究費や研究所設立支援をきっかけに親交を深めていた。
そうした人脈を使って接近したのがノルウェーの元外交官で『国際平和研究所』(IPI)理事長だったテリエ・ロード・ラーセン。同氏の紹介でノーベル平和賞選考委員会のトルビョーン・ヤクラント委員長(元ノルウェー首相、元欧州評議会事務局長)と懇意になったエプスタインは、2013年、ゲイツ氏を同伴させて仏北東部ストラスブールのヤクラント邸を訪れている。席上、ゲイツ氏のノーベル平和賞選考の話が出たことは想像に難くない>
ヤクラント氏は、ノルウェー労働党党首や外相、首相を歴任したが、汚職疑惑やスキャンダルが絶えず、ノルウェーでは「第二次大戦以降最低の首相」(同国有力紙)とも呼ばれた政治家だ。だが、与党実力者ということもあってノーベル平和賞選考委員会メンバー5人のうち1人に選ばれ、2009年から6年間委員長を務めた(エプスタイン有罪判決とともに委員長を辞任)。「清濁併せ呑む」ヤクラント氏は、ゲイツ氏がノーベル平和賞を狙うには絶好の人脈であったことは間違いないだろう。