5つ星を逃したクルマに求められる「改良ポイント」
以上、6モデルがファイブスターを獲得した。それ以外の4モデルのうち、得点自体は十分ではあったがファイブスターになり切れなかったのはキックス(172.03点)。
日産「キックス」
落とした原因は衝突試験。84.91/100点はAランクの84.63/100点を超えていたのだが、運転席&助手席の追突時頸椎保護がレベル3だったため、全項目レベル4以上という要件に引っかかり、Bランクとなってしまった。シートの改良を急ぎたい。
eKワゴン/eKクロス(167.72点)は3位のデイズとほとんど同一仕様で、衝突、予防安全とも試験は受けておらず、デイズのスコアがそのまま流用されている。ファイブスターの要件である事故時の緊急通報システムを欠いていたために4つ星に甘んじることになった。
三菱「eKクロス」
タフト(総合161.68点)は予防安全についてはAランクを取得。得点自体は78.50/82点とデイズに負けるが、アクティブハイビームを装備しており、全項目がレベル5だ。
ダイハツ「タフト」
足を引っ張ったのは衝突試験。オフセット衝突、運転席&助手席の追突時頸椎保護の3項目がレベル3で、特典も83.18/100点と伸び悩んだ。
衝突、受動安全ともAランクを逃したのは今回最下位のハスラー(146.93点)。フルラップ前面衝突の運転席、オフセット衝突の後席がレベル3止まりだったこと、後席シートベルト着用警報を持たないことが得点を下げた。
スズキ「ハスラー」
予防安全では誤発進抑制試験で今回の試験車中唯一、先行車に追突したのが痛恨事。レベルアップを図りたいところだろう。
以上が自動車安全性能2020の所感であるが、Windows95でインターネットが話題になった年に行われた第1回のアセスメントを見た筆者としては、クルマの安全性の進歩に瞠目するばかり。
予防安全に関しては5年前と比較しても長足の進歩と言うほかなく、衝突安全も今や、寸法的なハンディのきつい軽自動車でも最下位のハスラーを含め、生存空間がきっちり確保されるのは当たり前という感じであった。交通事故による死者数は大きく減っているが、それをなし得ている最大の原動力はこれらの技術である。
もちろん、そうだからといって無謀運転をすれば安全装置がカバーできる範囲を簡単に逸脱してしまうし、衝突安全にしてもシートベルトを着用し、正しい姿勢で着座しなければクラッシャブルボディやむち打ち防止シートなどは有効に機能しない。技術の恩恵を受けるためにも、クルマを使う側も常に知識や意識をアップデートさせたいものである。