ライフ

「免疫力アップ」に要注意 コロナ効果を謳う167商品に消費者庁が改善要請

免疫力は誰もが気になるテーマだが(写真はイメージ)

免疫力は誰もが気になるテーマだが(写真はイメージ)

【NEWSポストセブンプレミアム記事】

 新型コロナウイルスの感染は、自分の力ではどうにもならないことばかり。いくらマスクをして手洗いをしても、近くに感染者がいれば防ぎようがない。しかし、身体がコロナを撥ね付けられたら……そんな願望が「免疫力」ブームを生んでいる。でもちょっと冷静になって考えたい。「免疫力」って、そもそも何なのだろう。

食品では「アップ効果」を謳えない

『コロナに勝つには免疫力!』
『免疫力アップで病気知らず』

 新聞や雑誌では「免疫力」に関する記事や広告が並び、スーパーやドラッグストアでは「免疫力」を謳うお手製のポップが目を引く。

 新型コロナへの感染予防対策として免疫力に注目が集まり、免疫力に効果があるとされる健康食品の売り上げが伸びている。

 日本食糧新聞によると健康関連食品の2020年の市場規模は前年より約4%増の1兆5000億円に達したと見られている。併せて、サプリメントや錠剤といった栄養補助食品の売り上げも伸びていて、なかでも免疫機能の調節に関わるとされるビタミンDのサプリの昨年の売り上げは前年比2倍の4億8000万円に上るという調査もあり、驚異的な市場拡大が窺える。

 ただし、免疫力ブームは一部で弊害も生んでいる。警鐘を鳴らすのが消費者庁だ。

「新型コロナの感染が広まるなかで、コロナに対する効果を謳った商品が出ると予測して広告の監視を行なってきました。昨年3月から現在まで144事業者、167商品に対して景品表示法(優良誤認表示)と健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)に基づいて表示の適正化について改善要請を行なっています」(消費者庁表示対策課)

 今年3月にはサプリを摂取するだけでコロナ感染への予防や治療の効果を得られるかのような広告を出したとして、消費者庁はこのサプリを販売する健康食品会社に対し、景品表示法に基づき、再発防止を求める措置命令を出した。その際に問題視されたのは〈免疫力アップでウイルスに負けない〉という宣伝文句だった。

 同命令は「改善要請」よりも重い処分で、従わなかった場合の罰則や売り上げが一定以上あった場合には課徴金も発生する。

「『免疫力アップ』は身体の構造機能に影響を及ぼすということで、医薬品的な効能効果の標榜とみなされ、医薬品医療機器等法第68条(承認前の医薬品の広告の禁止)に抵触する恐れが出てきます。医薬品以外の食品(飲料、健康食品含む)で謳えるのは、あくまで『栄養補給』や『健康維持』といった現在の状態の維持まで。

『免疫』に関する効果を謳うには、医学的なエビデンスを提示する必要があります。今のところ消費者庁が食品で『免疫』に関する表示を認めているのは、昨年11月に発売されたキリングループの機能性表示食品『イミューズ』のみ。それも認められたのは『免疫機能を“高める”』ではなく、『免疫機能の“維持”』という表記です」(同前)

 食品で“免疫力アップ”と謳うことは基本的にNGとされているのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン