ライフ

ワクチンの副反応疑い 意識障害、幻視、幻覚、錯覚などはレアケース

厚労省は新型コロナワクチンの接種に関わる症状の報告を義務づけている(時事通信フォト)

厚労省は新型コロナワクチンの接種に関わる症状の報告を義務づけている(時事通信フォト)

 厚労省は医療機関や医師に新型コロナワクチンの接種が原因によるものと疑われる症状の報告(副反応疑い報告)を義務づけ、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会に提出、公表している。

 その中で、厚労省が発表している死亡事例は85件(5月21日時点)ある。血管性の症状で死亡したケースが多いが、医療従事者の25歳男性が「飛び降り自殺」した事例も報告されている。

 自殺はこの25歳男性とは別にもう1件報告されている。53歳女性が2回目の接種の2日後に自殺。医療機関の報告書には、〈接種と自死との因果関係は不明であるが、例えばタミフルによる小児の異常行動等に類する脳・精神への影響があり得るかもしれないと考えたので、注意喚起の意味で報告した。科学的な根拠は全くない〉と記載されている。

「副反応疑い報告」全体では、7297件(接種者の0.12%)の症例が報告されているが、「発熱」(2254件)、「倦怠感」(1494件)などのほかに「意識障害・意識消失」が50件、「幻視、幻聴、錯覚」は16件と、レアケースだが報告例は存在する(5月16日時点。症例は重複含む)。

 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会委員を務める中野貴司・川崎医科大学教授(感染症・予防接種が専門)が語る。

「異常行動、精神異常とワクチン接種の因果関係は分かりませんが、ファイザーの治験や欧米での接種でこうした事例があったことは、私自身は認識していません。接種された多くの方に起きていることはないと思います。

 ファイザーの添付文書には、精神神経系の副反応として頭痛、浮動性めまい、嗜眠、不眠症、顔面麻痺などが指摘されています。これらにより、異常行動のようなことが起こることは考え得るが、この事例が副反応によるものか判断できません」

「ただ」と中野氏はこうも指摘する。

「インフルエンザでうわ言やせん妄、異常言動が起きやすいのは、生理活性物質であるサイトカインが、インフルエンザの感染やそれに伴う免疫応答により血中で上昇する高サイトカイン血症が関与しているという意見があります。

 新型コロナワクチンも免疫を誘導し、副反応として発熱なども起こるわけですから、一連の経過で高サイトカイン血症が起こる可能性はあると思います。ただし、個人差もあるので、副反応として普遍化するためには、多数例で共通の症状が報告された上でのことになると思います」

関連キーワード

関連記事

トピックス

橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
フレルスフ大統領夫妻との歓迎式典に出席するため、スフバートル広場に到着された両陛下。民族衣装を着た子供たちから渡された花束を、笑顔で受け取られた(8日)
《戦後80年慰霊の旅》天皇皇后両陛下、7泊8日でモンゴルへ “こんどこそふたりで”…そんな願いが実を結ぶ 歓迎式典では元横綱が揃い踏み
女性セブン
犯行の理由は「〈あいつウザい〉などのメッセージに腹を立てたから」だという
「凛みたいな女はいない。可愛くて仕方ないんだ…」事件3週間前に“両手ナイフ男”が吐露した被害者・伊藤凛さん(26)への“異常な執着心”《ガールズバー店員2人刺殺》
NEWSポストセブン