一方、パート勤務の女性Bさんは、スパイ映画さながらの「指令方式」で夫に家事を仕込んだという。
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5才年下の夫の世話に追われ、気づけば結婚30年目。娘が結婚した2年前から、“卒家事”を考え始めました。でも、夫は頑固なうえ、妻に家事をさせることが男の甲斐性のように考えているので、「家事を手伝ってほしい」と頼んでも、聞いてくれません。
そこで作戦変更。私の誕生日に、真面目な口調で、
「私の方が年上だし、いつまで生きていられるかわからない。私が先に逝っても困らないように、自分のことはできるようにしてください」
と伝えました。夫も私の“本気”に気圧されたのでしょう。納得してくれました。
翌日から早速、夫の好きなスパイ映画にちなみ、「指令」を渡すことに。そこには、すべきことと時間を具体的に書くようにしました。
たとえば「月曜日にゴミを出す」だけではなく、「日曜日の夜22時に、寝室、居間、トイレ、キッチンのゴミを回収して玄関に置く。月曜朝8時までにそのゴミを収集所に出す」といった具合です。
口頭ではないので、聞き間違いもおこらず、初回から完璧に任務をこなしてくれました。
するとより難しい任務を求めるようになり、いまでは、ほとんどの家事ができるように。これでひとつ、肩の荷がおりました。
(65才・パート勤務Bさん)
取材・文/前川亜紀 イラスト/ユキミ
※女性セブン2021年6月17日号