JOCの会長を務める山下泰裕会長(共同通信社)
「実はJOC幹部のなかには、開催をめぐる、新たなカネの問題を追及されることを恐れている人物がいました。『また会長が変わるわけにはいかない』とも語っていた。その人物はマスコミが嗅ぎ付けないかを非常に気にしており、『長野五輪だってそうだったが、五輪さえ終われば追及する気はなくなる』と逃げ切り体勢。しかし複数のマスコミからの取材があり、かなり焦っていた。森谷さんは経理部長という立場上、こうした疑惑の真相を知っていた可能性があります」(別の五輪関係者)
森友学園の国有地問題をめぐって公文書改ざんを指示された近畿財務局職員の赤木俊夫さん(享年54)は2018年3月に自ら命を絶った。組織との板挟みで、隠ぺいにかかわらざるを得なくなり、良心の呵責に苦しみ自死を選ぶケースは、少なくないのだ。
森谷さんの母親は、「あの子は責任感は強い子だけど、自殺をするような子ではない」と、語る。
「2人の娘とお酒を飲むことが楽しみという、優しい父親なんですよ。あの子の妻も自殺だとは信じていません。『母の日』の少し前に電話で話したのが最後でしたが、悩んでいる素振りはありませんでした。最後に会ったのは昨年10月に実家に夫婦で帰って来たときでしたが、そのときも同じです。やっぱり自殺したとは信じられないんです……」(森谷さんの母親)
五輪開催直前、森谷さんの身に何が起こっていたのか。真相究明が待たれるばかりだ。
※女性セブン2021年6月24日号
京都府亀岡市で五輪中止を訴えるデモを行う人たち(共同通信社)