ライフ

新型コロナ治療薬3例目が承認 期待される薬剤も臨床試験加速

国内の新型コロナ治療薬の臨床試験が進む(イラスト/いかわ やすとし)

国内の新型コロナ治療薬の臨床試験が進む(イラスト/いかわ やすとし)

 日本における新型コロナウイルスの治療薬はレムデシビルとデキサメタゾンが承認され、重症例の死亡率低下に貢献している。さらに4月から、関節リウマチ治療薬のバリシチニブが承認された。他にも軽症から中等症を対象に、モノクローナル抗体による中和抗体カクテル療法の第III相臨床試験が始まっている。現在、有効な決定打がない軽症に対する治療として期待が大きい。

 新型コロナウイルス感染拡大から1年以上経過した。新型コロナに感染すると体内に入ったウイルスそのものが肺を障害して肺炎を起こす。その際、免疫細胞がウイルスを攻撃し、炎症が起き、免疫反応が過剰になり、サイトカインストーム状態になって血栓が生じるなど重症化する。最悪の場合は命を落とす。

 医療現場では発症と重症化のメカニズムに応じた治療が行なわれ、効果を上げている。日本で承認されている新型コロナ治療薬はレムデシビルとデキサメタゾン(ステロイド)だ。レムデシビルはエボラ出血熱の治療薬として開発されたが承認されず、新型コロナに対する臨床試験で、ウイルスの複製を阻害する効果が認められて承認された。

 埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科の岡秀昭教授に話を聞いた。

「重症の新型コロナ感染はウイルスを死滅させるだけでは治療になりません。炎症を沈めサイトカインを抑え、血液が固まらないように抗凝固療法を適宜組み合わせ治療することが必要です。レムデシビルとデキサメタゾンの併用は人工呼吸器をつけるような重症例の死亡率を低下させる効果があります。ただし、ステロイドは感染症を悪化させるケースもあり、軽症の患者に安易に使うのは危険です。現時点では承認薬で軽症者に使用できる薬剤はありません」

 治療薬は試験管や動物実験で効果があったとしても、実際にヒトに使用して効果があるかどうかの検証が重要だ。つまり、I~III相の臨床試験で安全性と有効性を確かめてから承認に至る。新型コロナの治療薬も、昨年から様々な薬が治療薬候補として登場。しかし、効果が認められず、承認に至らなかった薬剤も多い。例えばエイズ治療薬のカレトラも期待されたが効果は実証できず。マラリア治療薬のヒドロキシクロロキンは効果の実証どころか、有害であることが判明した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン