うっかりしていると…
“御代替わり”発表の2018年の経験が生かされた
事情が事情なだけに、手帳・カレンダーメーカーを責める声は多くはないというが、なかには「1月始まりの商品が反映できていないのはまだわかるけど、4月始まりの商品には対応すべき」という声も寄せられているという。
前出のJMAMでは、昨年12月中旬からホームページやブランドの公式SNSで定期的に正しい祝日のアナウンスをしつつ、祝日移動に対応したカードタイプの年間カレンダーを作成し、希望者には無料配布を行っている。また、4月始まりの商品は、印刷の時期に祝日移動は決定していなかったものの、最新の祝日が確認できるQRコードを奥付に入れたという。
「実をいうと今回、該当のページだけでも修正版を作ろうかとも考えました。ですが、当社の商品はレイアウトだけで300種類以上。週間、月間、年間とタイプも幅広いので諦めました。お客様にはご不便をかけることになり、申し訳ない気持ちでいっぱいです」(前出・担当者)
とはいえ、政府の発表から3週間ほどでここまで対応するのは大変なことだったろう。
「いえいえ(苦笑)、おそらく2019年度のカレンダー制作の経験が生きているんだと思います。2019年には天皇陛下が即位されることで5月1日と10月22日が祝日となりましたが、その基本方針が発表されたのが2018年の10月。4月始まりの商品にはなんとか間に合わせましたが、出荷が大幅に遅れてしまったという苦い経験があります」(前出・担当者)
手帳・カレンダー業界は、常に社会情勢や政府の方針とのせめぎ合いというわけだ。
紙のカレンダーに誤りが見られる一方、スマートフォンやパソコンのカレンダー機能は、ネットにつながる環境であれば、自動的に正しいものに更新されることが大半だという。(ただし、通話専用のガラケーには反映されていないので注意が必要)。
カレンダーが間違っていることなど一般の人は想像もしないから、今回のケースは、周知が足りないと大きな混乱を招きかねない。
休日にうっかり出社したり、間違えて予約やスケジュールを入れることのないよう、自宅のカレンダーの祝日を書き換えたら、家族や友人への周知徹底も怠りなく!
取材・文/辻本幸路
※女性セブン2021年6月24日号