空気の通り道
湿気はウイルス感染に関係ない
未知の病原体だった新型コロナウイルス感染症も研究が進み、最近は、空気中にウイルスを含んだ微粒子「エアロゾル」が漂い、「空気感染する」という見方が世界標準となっている。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広さんが説明する。
「新型コロナは飛沫感染だけでなく、空気感染のリスクがあるとわかってきました。それによって、今後、インフルエンザや風邪の常識も変わると指摘されています。
以前は、『湿度が50~60%になるとインフルエンザウイルスの感染力は低下する』といわれていましたが、インフルエンザは高温多湿の地域でも年中流行しているし、新型コロナも日本で一年中流行しています。のどが痛いほどカラカラに乾燥しない限り、ウイルス感染の条件として、湿度はあまり争点ではない」
これからは、ウイルス性の感染症対策には、CO2(二酸化炭素)の濃度が重要視される時代に変化するかもしれない。
「ひとり暮らしならあまり気にする必要はありませんが、人が増え、室内のCO2濃度が高くなるほど換気ができておらず、感染リスクも上がるという考え方です。単に窓を開けるだけでなく、風の通り道を理解し、CO2を室内から排除する必要性がある。都会では騒音問題などで窓を開けられない家もありますから、これからは、いかに窓を開けずにうまく換気できるかが注目されるでしょう。住居が大きく変わることで、結果的に新型コロナ以外の病気やアレルゲンの減少にもつながることが期待されます」(上さん)
いずれにしろ、外の湿度が60%より高い日は窓を開けない──これが現代の新常識といえそうだ。
※女性セブン2021年6月24日号