北朝鮮にも財閥がある?
そもそも、社会主義の北朝鮮で、ジョンヒョクの婚約者、ソ・ダン(ソ・ジヘ)の母のように、自営業でお金持ちになることは可能なのか。北朝鮮でも税金さえ払えば、大金を持つことは可能だそうだ。ドラマの設定だと、ソ・ダンの母はデパートを経営しながら平壌にあるドルのほとんどを稼ぐ財閥の中でもトップの財閥。実際、平壌には財閥がたくさんいるらしい。では、ここで疑問に思うだろう。北朝鮮では、財閥と政治権力者、どちらの力が強いのか。
セトミンによると、正解は、100%政治権力者だそうだ。北朝鮮にも私有財産を持つ財閥は存在する。しかし、民主主義国家と違う点は、いくら財閥であれ、政治権力者の一言で、全財産を没収することが可能ということだ。なので、北朝鮮のお金持ちが自分たちの財産を守るために、政治権力を持つ家と政略結婚するのはあるあるだそう。
では、北朝鮮で権力さえ持てば、自由にお金を手に入れられるのかというと、それも違うようだ。政治権力者の給料はたかが知れている。それ以上の財産を持つことは、不正で集めたお金でイコール金正恩に逆らったと判断され、厳しい処罰を受ける。よって、権力者からしても、お金持ちの財産は喉から手が出るほど必要なのだ。
政治権力者と財閥の政略結婚は、これ以上ないほど需要と供給が合致するシステムと言える。総政治局長の息子・ジョンヒョクと平壌で一番ドルを稼ぐ経営者の娘・ダンの政略結婚は完璧な設定なのだ。
「729」ナンバーの意味は?
危険が迫るヒロイン、ユン・セリのもとへ一刻も早く帰るため、ジョンヒョクが「729」ナンバーの車で飛ばすシーンがある。交通案内員も車のナンバーを見るや信号を操作し、他の車の通行を止め、赤信号にひっかっかることなく走り続ける。運転好きだったら一度はやってみたいこんなシーンが、北朝鮮では実際に起こるという。
北朝鮮で高位幹部が乗る車のナンバーは、頭3つの数字が決まっていて、一目で「偉い人が乗ってる車」とわかるらしい。故・金正日総書記時代は「797」。現在は「796」だそう。ドラマでは「729」と、似た数字になっている。
北朝鮮では、「796」の車を見たドライバーは遠回りをして避ける。なぜなら、この車に近づく車や人は危害を加えようとする不審者とみなされるからだそう。ちなみに、北朝鮮で高位幹部が乗る車はメルセデスベンツだそう。ドラマではスポンサーの関係かジョンヒョクが爆走させたのはジャガー、ユン・セリの愛車はレンジローバーだった。
北朝鮮から海外へ留学できるの?
金正恩がスイスに留学していたことは有名な話。ドラマでも、ジョンヒョクとダンはスイスでの留学経験を持つ。実際、北朝鮮の人も留学をすることが可能なのだ。ただ、かなりハードルが高い。留学経験のあるセトミンによると、まず、留学が可能な難関大学に進学、さらに留学資格を得る試験に合格しなければならない。
留学には「国費留学」と「自費留学」がある。もともとは国費留学のみだったが、国の発展のためには海外からの学びは大事であると、北朝鮮の上層部も自覚して、留学生を増やそうとしているらしい。しかし、国が出せる予算には限りがある。そのため、自費留学の制度ができたという。
国費留学の場合、留学先は北朝鮮が決め、留学先でも監視される。部屋には盗聴器、インターネットを使うのも報告が義務付けられるなど自由がない留学なのだ。自費留学生のほうがまだ自由はあるが、条件があるという。親が海外にいる人のみ、親が住んでいる国に限り留学が可能だ。
また、海外を知って北朝鮮の体制に疑問を持つ可能性があるため、すべての留学生にはこのようなルールがあるという。・1人行動は禁止。必ず2人1組でお互いを監視する。・週一で、留学生で集まり、報告会を行う。・外国の学生と1対1で話すのは禁止(特に韓国人と喋るのは絶対ダメだそう)。
北朝鮮を代表して留学している彼らは成績優秀であることは必須。もし成績が悪かったら強制送還されてしまう。この話を聞いて、自分の留学生時代が思い浮かんだ。そして韓国で生まれてよかったと心の底から思った。もし私が北へ数十km離れた国で生まれていたら、 留学しても1年もたたないうちに強制送還されていただろう・・・・・・(苦笑)。