芸能

『愛の不時着』素朴なギモンを脱北民の目線で検証

『愛の不時着』を筆者が初めて見た時は、北朝鮮の描写をちょっとコミカルな感じで受け取っていた。しかし、セトミンたちの話を聞いてから見直すと、感慨深いものがあった。

 南北統一を願うのは韓国の人だけだと筆者は思っていた。なぜなら、北朝鮮のニュースを見る限り、北朝鮮は韓国を敵視していると感じるから。だからドラマに登場する「韓国ドラマを楽しむ北朝鮮の若者」や、「BTSのファンだという北朝鮮の少女」は、ドラマの中だけに存在する架空のキャラクターだと思っていた。

 しかし、「北朝鮮で韓国のドラマや音楽が大人気だ」というセトミンのユーチューバーたちの話を聞いて、韓国の文化をこっそり楽しむ北朝鮮の若者の描写がリアルなものだとわかった。そして笑いながら見ていたはずのシーンが悲しく思えてきた。

 ドラマの中でよく聞くセリフが「北朝鮮では・・・」「韓国では・・・」だ。「我々は違う」を強調する言葉だが、そこには「だからお互いを知ろう」という意味が込められているようにも聞こえてくる。「知らないから怖い」と止まっていた北朝鮮へのイメージから一歩進めることをこのドラマは16話を通して投げかけてくれる。

 長い期間、多くの人の心を鷲掴みにすることができるドラマが持つメッセージ性は無限に強いと、改めて感じさせてくれた作品だ。

【プロフィール】Soozy/映像クリエーター/1988年、韓国生まれ。小さいころから日本が大好きで、高校卒業と同時に日本へ留学。2年間日本語学校に通い、慶応義塾大学環境情報学部入学。卒業後、映像制作の仕事に就く。ドラマの力で日韓の架け橋になれたらと発信中。Instagram:sooooozy12

「愛の不時着」展

(c)CultureDepot.(c) STUDIO DRAGON CORP. 「愛の不時着」展:入場料1,800円/ 数量限定「愛の不時着」展公式ガイド(小学館刊)付き入場券:3,000円(どちらも税込み)。7月4日まで開催中の名古屋会場受付にて当日券も絶賛発売中。 https://l-tike.com/ainofujichakuten

 

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