筆者も俳句の関係で知人には教師、とくに引退した元教師も多い。以前、個人的に興味があったので機会あるごとに昭和の管理教育の経緯と真相を聞いてみたが誰も話したがらない。ようやく話を聞けた元教師によれば「理不尽なのはわかっていたが、教師も染まらないと学校で立場がない」「あの時代、教員だって怖い思いはしていた」とのことで、一部の公立中学校には根深い問題があるのだろう。心ある先生も染まってしまうか、同調圧力に声を上げられなくなるのかもしれない。その主犯は学校責任者か、教育委員会か、教職員組合か、地方議会か、自治体か、あるいは地域の風土そのものか ――。
「学校の下着チェック、あえて下品に言っちゃいますけど、女子中学生のJCパンティーは純白パンティーが一番でワンポイントな萌え要素が入る分にはOK、ちゃんと白パン履いてるかどうかわかんないからスカートめくって先生が確認しちゃうぞ、ですよね。やってることはいっしょです」
さすがkuniママさん、見事にヘンタイ教師っぽく言い換えてくれた。筆者もkuniママさんも生まれが千葉の東葛地域なので千葉の事例ばかりとなったが(もちろん、同じ当時の千葉県でも地域や学校によって管理教育の温度差はあった)、先にも書いた通り日本全国の一部公立中でこうした「JC(女子中学生)のブラとパンティーは白! 白かどうか先生がチェック!」というヘンタイ行為が行われていることは事実であり、鹿児島市のように校則と行為を全面的に認めて見直しとなった例もある。福岡県でも弁護士会を中心に人権侵害であると声を上げ、静岡県でも市民団体の情報公開請求により見直しが検討されている。
規則は必要だし、学校という集団生活の中で有意な校則があることは認める。しかし学校による中学女子の下着指定とチェックは異常としか言いようがない。異常な強制力による権威を野放しにしてはいけない。時代とともにアップデートできない公教育は国の将来にも害悪である。社会全体の問題としてこの「教師によるJC下着の指定とチェック」という公教育による悪習はいますぐ排除すべきだ。昭和の過去は過去として。
それにしても多感な思春期にこんな目に遭う生徒たち、本当にかわいそう過ぎる。こうした旧来の理不尽もまた、ルッキズムやハラスメント同様、将来に引き継ぐこと無く終わらせなければならない。
【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社を経てフリーランス。全国俳誌協会賞、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞(評論部門)受賞。『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社)、『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)。近刊『評伝 赤城さかえ 楸邨、波郷、兜太から愛された魂の俳人』(コールサック社)。