2019年8月、「ブラック校則」の見直しを求める署名を文部科学省に提出後、記者会見する評論家の荻上チキさん(右)ら(時事通信フォト)

2019年8月、「ブラック校則」の見直しを求める署名を文部科学省に提出後、記者会見する評論家の荻上チキさん(右)ら(時事通信フォト)

 ある男性教師の部屋に遊びに行ったら(昔は学校の先生のアパートに遊びに行く牧歌的な面もあった)、小学生女児の裸写真ばかりのお手製アルバムがぎっしり、あきらかに自分の生徒だったであろう女児のパンチラ写真や着替えの盗撮もあった。「先生ってばエローい」と一緒に行った女子たちはからかっていたが、いま考えればおいおいその教師は事案、である。それでも人気教師だったしのちに校長先生になった(珍しい名前だったので検索で確認済み、いまは定年)。若い人には理解不能だろうが、子どもに対する性が真剣に取り沙汰されなかった昭和の話である。そういう実写の女児本も合法で、普通に書店で売っていた。

 中学時代には特定の女子を常に膝に抱く(中2の女子生徒!)男性教師がいた。彼女の心中はどうだったのだろう。「先生ってば贔屓してる~」とこれまた女子はからかっていたが、まさに恐怖の贔屓である。そんなのありえない、作り話、嘘つきと公正世界仮説のお花畑で幸せに生きてきた人や当時を知らない若い人は怒るかもしれないが、かつての声なき声の持ち主はいまも当時のトラウマを心に隠し持っている。昭和の話、思春期の傷、いまさら蒸し返したくないだけだ。

本音では教師なんて信用してない

 乱暴を覚悟で言うが昭和の日本の学校教育なんて大なり小なりそんなものだった。元軍人が校長だった千葉の某小学校は真冬に半袖半ズボンで意味なく行進させられた。集会中に貧血で倒れた校旗持ち(小学校の話である! ちなみに応援団とかではない)は倒れたまま教師に蹴りを入れられた。部活の殴る蹴るで生徒を病院送りにしてお咎めなしの体育教師もいた。これは筆者の地域ではないが、男女とも高学年にもなって上半身裸で乾布摩擦とはなんだったのだろう(これ、地域差が相当あるようで筆者の元勤務先の先輩は信じてもらえないと嘆いていたが、この乾布摩擦の盗撮写真集も90年代くらいまで専門書店を中心に売られていた)。いずれも昭和50年代、半世紀も遡らない話である。ガンガン躾けてくれと地元有力者が牛耳るPTAも共犯だった。子どもの尊厳や羞恥心など一蹴された。

「だから本音では教師なんて信用してないんです。モンスターペアレンツなんて言われますけど、団塊ジュニアの親の場合、そんなトラウマのせいもあると思うんです」

 あくまでもkuniママさんの意見だが納得できる部分はある。現代の親世代の教師や学校に対する不信は、かつての学校教育と理不尽な管理教育、そしてコンプライアンスと無縁の生徒指導にあるのかもしれない。それなのに、いまだに社会から隔絶した昭和のルールで子どもを支配する学校が存在する。ましてや女子の下着の色を決め、そのチェックをするような学校だ。こんな意味のない校則、なぜ正せないのか。

「学校を正すには外圧しかないんだと思います。生徒も保護者も言いにくいです。先生も大半はそうなのかもしれません。そういう意味もあって、こうして話してる部分もあります」

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