1979年、麹町中内申書裁判での勝訴判決後、喜びの会見をする保坂展人さん。2011年からは世田谷区長をつとめている(時事通信フォト)
「親としては探すのが面倒ですよ。真っ白な10代女子の下着なんて。とくにブラジャーなんか面倒だからネット通販とか」
サイズにもよるが、真っ白な女性用の下着というのは探すのが面倒らしい。それにしても、なぜ白なのか、パンツチェックの話は本当なのか。
「さすがに女性の先生がチェックするみたいですけど本当ですね。娘が言うには、やんちゃな子はとくに目をつけられるみたいです」
履いている下着なんか同性にだって見られたくはないだろう。kuniママさんは東京区部の話だが、調べてみると筆者の住む東京都下、多摩地域でも下着の指定が存在した。東京だけの話ではなく、例えば福岡市の市立中学の多くは下着の色を指定している。佐賀や愛知、静岡でも同様に下着の色は白と指定する公立中学が存在する。鹿児島市も市立中学校38校のほとんどで下着の色を白に限定していた。猛抗議により2022年3月までに廃止となるようだが、東京はどうなのか。
「校則が厳しくても保護者はうるさく言わないんですよね。むしろ校則で縛って欲しいって親もいるし、あと公立中学は内申点の問題もあります。都立高校の受験は内申点が絶対ですからね」
娘は「内申下げられたくないから我慢」
なるほど、都立高校の受験はとくに内申点に左右される。試験日一発逆転など過去の話、内申書によっておおよその受験校は決まる。かつて都内の公立中学が荒れに荒れた弊害もあるが、とくに昨今は内申点の比重が高く、それも五教科以外の内申点の比重が高い。つまり、学力だけでなく生徒の日常も評価すると言えば聞こえはいいが、内申を盾に生徒を徹底して管理できるように仕組まれているとも言える。実際には一教師の好き嫌いではなく個々の生徒の内申に管理側のチェックも働くとされているが、生徒や保護者からすれば機嫌は損ねたくはないし、実際の現場となるとどうだろう。
「だから文句は言えないですね。卒業まで我慢です」
まったくおかしな話、女子の下着の色を決め、そのチェックをする公立中学。親も子も内申書を気にして文句も言えない。大昔は「内申書裁判」なんてのもあった(当時の原告はいまや世田谷区長の保坂展人さん)。
「言い方はアレですけど、田舎と違って東京だとまともな家庭の大半は中学受験ですからね、都立だって中高一貫が増えました。私は子どもを自由に育てようと考えて受験させませんでしたけど、やっぱりさせたほうがよかったかなとも思います」