スポーツ

引退の松坂大輔、横浜高の恩師が語っていた「引き際の大切さ」

(時事通信フォト)

松坂の「育ての親」が語った(時事通信フォト)

「平成の怪物」として一時代を築いた西武・松坂大輔(40)が野球人生に幕を下ろすことが報じられた。古巣・西武に14年ぶりに復帰した昨季は1軍登板がなく、今季は2軍戦の登板もないまま、引退を決断した松坂。そんな松坂を引退直前まで気にかけていたのが、横浜高校でコーチ、野球部部長を長年務め、「育ての親」と呼ばれる小倉清一郎氏だった。つい最近、筆者のインタビューにこう語っていた。

「そりゃ心配だよ……。電話で最近話したのは2月か3月ごろかな。『今あるところで秘密の治療をしています』って言っていて。首を傷めているみたいで、思うようにいかないんだろうね。『どうなんだよ』って聞いても『(治療を)やってるところだからわかりません』って。オレにも状態はわからないよ」

 小倉氏と松坂の出会いは今から28年前だった。江戸川南リトルシニアに所属していた中3の松井光介(現・ヤクルト打撃投手)に注目して球場に足繁く通っていた時、2学年下の松坂の姿に目を惹かれたという。

「ずば抜けて凄かったわけじゃない。コントロールも悪かったし、身長も165センチぐらいで高くはなかった。だけど、こいつはひょっとしたら凄い投手になるという予感がしたんだ。身長に比べて背筋は強そうだったし、2塁ゴロや遊撃ゴロを全部捕りにいく姿勢にも目を惹かれた。実際、中学3年間で球はどんどん速くなったよ。最終的に20~30校が興味を持ったんじゃないかな。でも、声を掛けただけの高校も少なくなかった。ストライクが入らないから」
 
 中学時代の松坂は2年秋の関東大会で優勝、3年の夏の大会も優勝するなど頭角こそ現していたが、全国の強豪で知られる中本牧リトルシニアに大量失点を喫するなど、世代を代表する存在ではなかった。当時の江戸川リトルシニアは帝京高とつながりが深く、「松坂も帝京高に進学するだろう」と見られていたのも、他校が手を引いた理由かもしれない。
 
 だが、小倉氏は松坂の可能性に賭けた。「ストライクはいずれ入るようになるから、どうってことない」と言いのけ、先に横浜高に進学が決まっていた中本牧リトルシニアの小池正晃(現・DeNA1軍外野守備走塁コーチ)、小山良男(現・中日スカウト)、常盤良太に対し、松坂を横浜高に誘うように伝えた。小池らにとってみれば、松坂はメッタ打ちにした投手だけに、その指令を不思議に感じただろう。小倉氏はその空気を察してこう言ったという。

「もう少ししたら、おまえらが束になっても勝てないぞ」

 横浜高に入学後した松坂だが、制球難がなかなか修正できない。渡辺元智監督が「投手に見切りをつけて打者にしよう」と提案したこともあった。だが、小倉氏は首を縦に振らなかった。

「あの学年は大輔以外に投手がいなかったんだよ。長田秀一郎(現独立リーグ・武蔵投手コーチ)をスカウトしていたんだけど、『公立でやる』って言ってたから、手を引いたら鎌倉学園に行って。もう一人、目をつけていた加納大祐も鎌倉学園に行った。松坂を育てるしかなかったんだ」

関連キーワード

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト