次に、昭武の随員としてパリ万博へ派遣される外国奉行支配・杉浦愛藏役の志尊淳。『女子的生活』(NHK、2018年)でトランスジェンダーの主人公を演じ、文化庁芸術祭賞テレビ・ドラマ部門で放送個人賞受賞と、NHKドラマをきかっけに俳優としての評価をさらに高めた彼。「初めての大河ドラマで不安もありますが、常に戦い挑戦していた杉浦愛藏の想いを継承し、僕も戦いたいと思います」という意気込みに期待が高まる。
(c)NHK『青天を衝け』。渋沢(右・吉沢)と親交を深める杉浦愛藏(左・志尊)。
そして、大抜擢といえるのが、無骨な水戸藩の武士・菊池平八郎役の町田悠宇。渋沢が海外の技術や考えを柔軟に取り入れようとするのに対し、大和魂をふりかざし多々困らせるという役柄。登場した時に、その眼力と圧倒的な存在感で、映画『ロックンロール・ストリップ』(2020年)に出ていたあの俳優だ!と一目で気づいた。ほんとうに幕末からやって来たような、これで東京の街を歩いていたら浮きまくりだろう、という気配をまとい強烈な印象を残す。
プロデューサーが、町田が出演していた舞台、ハイバイ『投げられやすい石』(2020年、東京芸術劇場シアターイースト)を観劇していて、この出演に繋がったという。
大抜擢で大河ドラマ初出演の町田悠宇。大和魂をふりかざす武士を演じ強烈な印象を残す。
大河ドラマに出演できるというのは日本の俳優の中でも一握り。それもスター俳優以外は、エキストラや「武士1」役から始まっていく世界なのかもしれない。でも実は、意外なマッチングや通でなければわからない粋なキャスティングがされている、そんなところも大河ドラマという伝統が長く愛される理由かもしれない。