ベストマザー賞に選ばれた当時の久保純子さん(2010年=時事通信フォト)

ベストマザー賞に選ばれた当時の久保純子さん(2010年=時事通信フォト)

 サッカーの若手育成プログラム・JFAアカデミー福島(日本サッカー協会設立・中高一貫の寄宿制)で世界基準をめざす教育プログラムを取材した時、驚かされました。重視されているカリキュラムが「言語技術」だったからです。

 なぜ、言語技術がスポーツ強化に必要なのか? 

 サッカーは局面が次々と切り替わる。変化する状況を素早く分析し、対処を考えることが求められる。状況から情報を取り出して論理的に判断し、共有する力が強さにつながっていく。言語による論理的な思考を持つことは、良いプレーをする条件となっているのです。

 欧米各国ではすでに言語技術トレーニングが学校教育の中に採り入れられ、言葉による表現能力を磨いた上で、さらに得意な技を積み上げていく。

 日本でも、言語技術の上にあうんの呼吸、空気を読む力、言葉を介さないコミュニケーションが組み合わさっていけば他国に真似できない連携も可能になるかもしれません。

 しかし、日本のスポーツ中継に目を転じると……伝える側に言語技術が不十分。サッカーの試合中に解説者が「あっ、ボールが浮いてしまいました、残念ですね」「今のプレーは凄かったですね」的なコメントをすることもしばしば。

 画面を見ていればわかることを言葉でトレースし、そこに雰囲気や感情を重ねる、というパターンです。取材側も視聴者もそれに慣らされているので、久保アナのような「今の気持ち、悔しい感じなんでしょうか?」といった曖昧な質問が繰り返されることになるのでは。

 今回はせっかく久保アナが汚れ役となって事例を見せてくれたのです。まもなく始まる東京オリンピック・パラリンピックでは、取材陣も「どうですか?」的曖昧な質問ではなく、視聴者が「よくぞ聞いてくれた」と膝を打つような質問を繰り出してくれることを祈っています。

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