国内

熱海土砂災害で注目 東京・大阪に隠れている「高リスク造成地」27地点

熱海

熱海を襲った土石流は、造成地が原因との情報が(時事通信フォト)

 列島各地で豪雨が続くなか、災害リスクと「盛り土」の関係に注目が集まっている。静岡県熱海市で起きた土砂災害では、人工造成地が崩れたことが被害を拡大させたと見て、県が調査を開始。だが、危ないのは山間部だけではない。災害リスクの高い造成地は都市部にも多数あることを、「地盤カルテ」が弾き出した。

 国土交通省は2020年3月、全国に5万1306か所の大規模盛土造成地が確認されたことを公表した。

 大規模盛土造成地には、3000平方メートル以上の面積の盛り土で谷や沢を埋め立てた「谷埋め型」と、傾斜面に沿って盛り土し、地山の勾配が20度以上かつ盛り土の高さが5m以上の「腹付け型」がある。

「熱海は谷埋め型でしたが、腹付け型だから安心というわけではなく、それぞれに土砂災害リスクはある。急傾斜地には見えない都心部にも土砂災害リスクの高い造成地は点在しています」

 そう語るのは全国の住宅地盤の調査・解析を手掛ける「地盤ネット」取締役で一級建築士の伊東洋一氏だ。

 全国各地の地盤の“診断結果”を知ることができるネット上のサービス「地盤カルテ」を提供している同社は、7月の豪雨被害を受けて、防災を目的として地盤・災害・不動産情報や安全性の高い物件情報が閲覧可能な有料オンラインサービスも限定無料開放している(7月31日まで)。

 地盤カルテは、調べたい住所を入力すれば、その土地の【A】地盤改良比率(補強工事の度合い)、【B】浸水リスク、【C】地震による揺れやすさ、【D】土砂災害リスク、【E】液状化リスクの5指標を総合評価したスコアが算出される。

「独自データに加え、全国各自治体のハザードマップや国土地理院が作成したリスク区分などをもとに弾き出しているので、極めて信頼性が高いと自負しています」(同前)

『週刊ポスト』は地盤ネットの協力のもと、国交省が公開している大規模盛土造成地のなかで地盤カルテが土砂災害リスク3以上(1、3、5の3段階評価)を示した地点(東京・大阪の計27か所)を抽出し、別掲の地図に記した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山田和利・裕貴父子
山田裕貴の父、元中日・山田和利さんが死去 元同僚が明かす「息子のことを周囲に自慢して回らなかった理由」 口数が少なく「真面目で群れない人だった」の人物評
NEWSポストセブン
国内未承認の危険ドラッグ「エトミデート」が沖縄で蔓延している(時事通信フォト/TikTokより)
《沖縄で広がる“ゾンビタバコ”》「うつろな目、手足は痙攣し、奇声を上げ…」指定薬物「エトミデート」が若者に蔓延する深刻な実態「バイ(売買)の話が不良連中に回っていた」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
【美しい!と称賛】佳子さま “3着目のドットワンピ”に絶賛の声 モード誌スタイリストが解説「セブンティーズな着こなしで、万博と皇室の“歴史”を表現されたのでは」
NEWSポストセブン
8月27日早朝、谷本将志容疑者の居室で家宅捜索が行われた(右:共同通信)
《4畳半の居室に“2柱の位牌”》「300万円の自己破産を手伝った」谷本将司容疑者の勤務先社長が明かしていた“不可解な素顔”「飲みに行っても1次会で帰るタイプ」
NEWSポストセブン
騒動から2ヶ月が経ったが…(時事通信フォト)
《正直、ショックだよ》国分太一のコンプラ違反でTOKIO解散に長瀬智也が漏らしていたリアルな“本音”
NEWSポストセブン
ロシアで勾留中に死亡したウクライナ人フリージャーナリスト、ビクトリア・ロシチナさん(Facebook /時事通信フォト)
脳、眼球、咽頭が摘出、体重は20キロ台…“激しい拷問”受けたウクライナ人女性記者の葬儀を覆った“深い悲しみと怒り”「大行列ができ軍人が『ビクトリアに栄光あれ!』と…」
NEWSポストセブン
谷本容疑者(35)の地元を取材すると、ある暗い過去があることがわかった(共同通信)
「小学生時代は不登校気味」「1人でエアガンをバンバン撃っていた」“異常な思考”はいつ芽生えたのか…谷本将志容疑者の少年時代とは【神戸市・24歳女性刺殺】
NEWSポストセブン
大谷の「二刀流登板日」に私服で観戦した真美子さん(共同通信)
「私服姿の真美子さんが駆けつけて…」大谷翔平が妻を招いた「二刀流登板日」、インタビューに「今がキャリアの頂上」と語った“覚悟と焦燥”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン