1980年代後半からヤクルト、巨人、阪神で活躍した打者・広澤克実氏(59)が語る。
「僕の現役時代はようやくサイン盗みが禁じられた頃でしたが、変化球を読んで狙い打ちしたりするだけでも、“なぜ泳がない”“なぜタイミングが合う”と疑いの目がさらに厳しくなりました。逆に盗まれていないか見破るために、サイン盗みの勉強をしたりしましたね」
昭和、平成、令和と時代を経るごとにサイン盗みに厳しい目が向けられるようになったが、ある球団関係者はこう語った。
「まもなく東京五輪が開幕しますが、国際大会ではサイン盗みなど当たり前です。当然許されるべき行為ではありませんが、阪神とヤクルトがこの程度のことで揉めていては、日本代表が厳しい戦いを勝ち抜けるのか心配になってしまう」
サイン盗みなどものともしない強かさが今のプロ野球には求められているのかもしれない。
※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号