ライフ

KeMCo【2】学び舎の所蔵品に壇蜜感嘆「バラエティに富んでいます」

北村四海『手古奈』1909年頃:1945年の大空襲で失われてしまった腕など、戦禍の跡も残る

北村四海『手古奈』1909年頃:1945年の大空襲で失われてしまった腕など、戦禍の跡も残る

 日本美術応援団団長である美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都港区の慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)の第2回。2人が人と人との交流で集まった美術品の数々を見て回る。

山下:慶應義塾は150年超の歴史で多彩な文化財を集積し、この春三田キャンパスに慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)を開設。その構内でも朝倉文夫の彫刻など、優れた美術作品に触れられます。

壇蜜:図書館旧館では見事なステンドグラスや大理石彫刻に心を奪われます。

山下:『手古奈』像は創立50年の図書館建設時に大理石彫刻の第一人者・北村四海が寄贈した、国内最大規模の大理石彫刻像です。図書館新館には戦後日本を代表する抽象画家・宇佐美圭司の『路上の英雄No.3』があり、塾内の文化財としてKeMCoの開館記念企画展でも披露されました(現在はオンラインで公開)。

壇蜜:所蔵する文化財から国内外の絵画や彫刻を紹介した展示には、紀元前頃のものとされる像もあるなどジャンルが広いですね。

山下:古代の『女性頭部』像は慶應の学生が欧州留学中に入手し、後に寄贈されたもの。今後もKeMCoに常設展示されます。慶應の所蔵品には作家や卒業生からの寄贈、慶應で学び芸術家となった卒業生の作品なども数多く含まれます。

壇蜜:テーマを絞って統一されたコレクションではなく、学び舎を軸に人と人との交流から育まれてきたことでバラエティに富む美術作品が集まったのですね。

山下:孫が学んだ縁で寄贈された横山大観の日本画なども所蔵し、KeMCoでは思いがけない作品との出会いも生まれそうです。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)
【開館時間】展覧会により異なる
【休館日】土、日、祝
【入館料】無料
【住所】東京都港区三田2-15-45 ※開館情報はHPにて要確認

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国分太一コンプラ違反で解散のTOKIO》山田美保子さんが31年間の活動を振り返る「語り尽くせぬ思い出と感謝がありました」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン