ライフ

子供向け学習図鑑は日本独自に発展「他国の同類書籍を見たことない」

学習図鑑は“夏休みの友”だった

学習図鑑は“夏休みの友”だった

 図鑑と聞いて誰もが真っ先に思い浮かべるのは、子供の頃に手にした“学習図鑑”ではないだろうか。捕まえた虫の名を調べたり、夏休みの自由研究の調べものをしたり。

「子供のための学習図鑑は、実は日本で独自に発展したものです。本の国際見本市でも他の国の同類書籍を見たことがありません」

 こう話すのは、図鑑の編集に携わり、その歴史にも詳しい小学館の北川吉隆図鑑室長だ。

 学習図鑑の祖は、1949年に保育社から刊行された『学習理科図鑑 生物篇』といわれ、1956年から「小学館の学習図鑑シリーズ」の刊行が始まった。

「1巻目の『植物の図鑑』では著者が読者に向けて〈植物とお友だちになるには、まず種類のなまえを知らねばなりません〉と呼びかけ、図鑑の基本が伝わってきます。しかし全28巻の中には『保健の図鑑』『音楽の図鑑』など、こんなものまで図鑑になったんだ、と目から鱗のものもあります(笑い)」(北川室長)

 高度経済成長期とも重なり、300万部も売れた巻もあったという。

 そして1970年に「なぜなに学習図鑑シリーズ」、団塊ジュニアが誕生した1971年には全50巻の「小学館の学習百科図鑑シリーズ」の刊行が始まった。

「『学習百科図鑑』が正統ならば、『なぜなに』は今でいうトンデモ的な要素も。宇宙人も登場します(笑い)。しかし子供の好奇心や想像力を刺激するのも学習図鑑の役割の一つです。そうした姿勢を受け継ぎ、発売中の『小学館の図鑑NEO+ぷらすシリーズ』でも『くらべる図鑑』『分解する図鑑』など新機軸を打ち出してきました。

 歴史を振り返ると、図鑑に“学習”と“子供たちが夢中になるように”という視点が加わって、学習図鑑は豊かな世界を築き上げてきたのだと思います」(同前)

※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号

関連記事

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン