国際情報

中国でカラオケの楽曲規制へ 「国家に不利益与える」と判断される曲は?

中国で「楽曲のブラックリスト」が作られる

中国でカラオケへの規制が入る

 中国政府は7月中旬、「カラオケ店の音楽に関する暫定管理規定」を公表し、中国当局が国家によって不利益な影響を与えると判断した曲はカラオケの楽曲リストから外すことを明らかにした。今後、楽曲のブラックリストを作り、発表するという。

 実施されるのは今年10月1日からで、習近平指導部は国家・国民を団結させるため思想統一を強化しているが、ネット上では「国民的な娯楽であるカラオケまで規制するのはあまりにもいき過ぎだ」との不満の声が早くも出ている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 規定によると、「国家の統一、主権、領土保全を危険にさらす」「国家の安全、名誉、利益を害する」「民族的憎悪を煽る」と審査会が判断した曲は禁止され、カラオケのリストから削除される。これに加えて、暴力や賭博、麻薬などを助長するような曲や、他人を侮辱するような曲もブラックリストに入れられるという。

 禁止する理由について、規定は「社会主義の核心的価値観を発展させ、国家の文化とイデオロギーの安全を守るため」としている。まだ、具体的な曲名は明らかにされていないが、管理規定を公表した文化観光省は「2020年だけで、違反する歌は100曲以上確認されている」と発表している。

 例えば、日本の軍歌や台湾(中華民国)の「国歌」などは当然、禁止の対象になるほか、中国当局が神経を尖らせている民主化運動などで歌われた曲はブラックリスト入りするのはほぼ確実だ。

 香港のロックバンドBeyondの『Vast Sky and Endless Sea』は、「許してくれ、でも自由への愛をあきらめたことはない」という歌詞を含んでおり、香港の民主化デモなどでも頻繁に歌われるなど、カラオケ店での人気曲となっている。また、社会主義を象徴する歌である『インターナショナル』をヘビーメタル風にアレンジした中国語版は、1989年の天安門事件の際に何千人もの参加者により天安門広場で繰り返し歌われており、カラオケリストから除外されるのは間違いない。

 やはり天安門事件の際、中国政府による民主化弾圧に抗議した台湾の人気歌手テレサ・テンの歌は今も中国で歌われているが、これも禁止される可能性が強い。このほか、新疆ウイグル自治区のウイグル族やチベット自治区のチベット族の民謡なども禁止リスト入りするのではとみられる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン