NHKの五輪開会式中継で、会場演出以上に光ったのが和久田麻由子アナの実況だった。落ち着いた語りで各演目の背景まで解説する和久田アナに、SNSでは〈声だけで癒される〉〈彼女が中継担当で良かった〉といった称賛が溢れた。万人に愛される和久田アナの魅力とは──。
かねてより「和久田ファン」を公言している演出家のテリー伊藤氏はこう語る。
「投げてよし打ってよしで、テレビ界の大谷翔平ですよ。何より和久田さんは“女子アナ”ではなく“女性アナウンサー”なんです。柔らかいイメージだけど、実は大衆に媚びない。世間の好感度を狙っていないし、あざとさも持ち合わせていない。凛とした美しさを感じます。その面では『ニュースステーション』(テレビ朝日系)時代の小宮悦子アナ(63)に近いのかなぁ。こういう女性アナウンサーは近年出てこなかった」
政治家が「紹介して」
そんな和久田アナ、とりわけファンが多いのが政界だ。NHKの政治部記者によれば「政治家に取材すると、『和久田さんにインタビューされたい』『紹介してほしい』と言われることが少なくない」と明かす。
実際に『ニュースウオッチ9』で和久田アナのインタビューを受けた自民党の井上信治・国際博覧会担当大臣が語る。
「昨年9月、『新閣僚に聞く』という企画で初めてお会いしました。礼儀正しく謙虚で、それでいて元気で明るい。最後まで私に気を遣ってくださった。おかげでスムーズに収録に臨めました。
通常、インタビューには想定問答があって、用意された質問を読み上げるだけという人もいます。でも、和久田さんはそれに則りつつも、柔軟にアレンジした質問をしてくれた。私が大臣として所管する分野は非常に幅広いのですが、いずれも和久田さんはよく勉強されていて、宇宙のことや万博のことなどを深く掘り下げてもらいました」
時には鋭く厳しい質問も受けたという。
「当時は安倍政権が終わったばかりで公文書の問題がいろいろあった。私は公文書管理も担当しているので、『説明責任を果たしていないのでは』という質問も投げかけられました。
NHKの場合、そういうことは割とサラッと流すケースが多いので少し驚きましたが(苦笑)、あれは的確な指摘でした。しかも“責め立ててやろう”という感じが一切なく、聞くべきことを聞いているというスタンス。こちらも『責任を果たさなければなりません』と答えるしかなかった。彼女の持っている雰囲気というか人柄が、そうさせるのでしょうね」(井上氏)