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森田健作『さらば涙と言おう』作詞・阿久悠さんとの一度きりの思い出

森田健作が阿久悠さんとの思い出を振り返る

森田健作が阿久悠さんとの思い出を振り返る

 主演ドラマで主題歌を歌うことも多かった森田健作にとって、初主演ドラマ『おれは男だ!』(1971年)の主題歌『さらば涙と言おう』は、今でも繰り返し歌うほどお気に入りだという。その作詞を担当した阿久悠さんには、他の主演ドラマの主題歌も数多く作詞してもらっていた。森田が、阿久さんの歌詞に対する熱い思いを語った。

 * * *
 文部省政務次官だった1999年に、阿久悠先生に紫綬褒章の章記をお渡ししたんです。私はいわば教え子ですから、一段と声を大きくしてお読みしました。

 そういうことがあって、「一度、会食をしたい」とお願いし、ご多忙にもかかわらず受けていただきました。その時に「先生、私は『さらば涙と言おう』(1971年)の2番の、青春の勲章はくじけない心だという言葉にどんなに助けられていることか」とお話ししたんです。

 私は異業種から国会議員になったので、色眼鏡で見られて揶揄されることも多かった。「本当に悔しくて辛い時は風呂場で『さらば~』を歌うんです。悔しさの度合いによって、歌う時の力の入りようが違うんですよ」と言ったら、先生は「君らしいな」と笑っていらっしゃいました。

 その時に、もう一度詞を書いていただきたいとお願いしたところ、「わかった、やろうじゃないか」とおっしゃって。その後、「スポニチの『甲子園の詩』の連載が終わったら書くからな」とご連絡をいただいたのが、先生との最後でした。

 いい詞っていうのは、その時々に思い入れや歌い方が変わるものじゃないでしょうか。政治生活30年、今春、千葉県知事3期を終えた時にも風呂場で歌いましたが、過去最高の歌声だったと思います(笑い)。

 阿久先生と直接お話ししたのは、会食した時、一度きりです。でも歌の中ではしょっちゅう会っています。『さらば涙と言おう』の詞には、みんながんばれよ、泣くなよ、前を向けよ、という阿久先生からの励ましが込められています。先生の詞は、私の一生の心の支えです。生きている限り、歌っていきます。

【プロフィール】
森田健作(もりた・けんさく)/1949年生まれ、東京都出身。1969年にデビューし、1971年の『おれは男だ!』(日本テレビ系)が大ヒット。1992年~参議院議員、1998年~衆議院議員、2009~2021年4月4日まで千葉県知事を務めた。

※週刊ポスト2021年8月13日号

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