芸能

再放送の朝ドラ『あぐり』を見て、野村萬斎不在の五輪開会式を思い返した

パパもガックリ?(時事通信フォト)

野村萬斎「総合演出」なら開会式はどうなっていたか(時事通信フォト)

 厳戒下の祭典は筋書きのないドラマを数多く生み出している。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘した。

 * * *
 テレビをつければオリンピック一色。感動のメダル獲得物語もいいけれど、御涙頂戴があまりに続けば食傷気味になる人も出てくるはず。一方、夏ドラマに目を向けるとややパワー不足か。ラブコメ、医療モノが目立つけれど、じっくり人間ドラマを味わうことのできる大人向け作品は夏枯れ状態。

 そんなこの時期、一服の清涼剤のように魅力的な人物がドラマに降臨。再放送中の朝ドラ『あぐり』(NHKBSプレミアム月~土曜午前7時15分)で躍動する望月エイスケです。そう、スキャンダル続きで辞任・解任、大揺れのオリンピック開会式で当初「総合演出」を担当するはずだった、あの狂言師・野村萬斎さんが演じる役です。

『あぐり』は今から24年前、1997年に放送されたドラマ。主人公のモデルは97歳まで現役美容師を続けた吉行あぐり。女優・吉行和子さんの母です。明治、大正、昭和、平成を駆け抜けたあぐり(田中美里)の女半生記ドラマは当時大ヒットし、最高視聴率が31.5%に達しました。

 高視聴率を叩き出しただけではありません。何と言っても夫・エイスケ役となった「野村萬斎」の名前を広くお茶の間に知らしめるきっかけとなりました。あの当時、幅広い年齢層の女性ファンが「エイスケ沼」にどっぷりはまり、能舞台に押し寄せた。メインの演目である能に関心が無い人でも狂言には殺到し、「エイスケさんを一目見たい」と黄色い歓声を上げました。

 いったい何が、そこまで世の女性の心を揺さぶったのでしょうか?

 お見合い結婚をしたあぐりとエイスケの夫婦。エイスケは小説家で自由奔放で時々しか家に帰ってこない。投資に走ったり女を作ったりもうめちゃくちゃなのに、憎めない。主婦たちから反発されるどころか、とことん愛されたのも今考えると不思議です。

 おそらくヒントは伝統芸能の道を鍛錬してきた野村さんの、奥深い人間力とチャーミングさにありそう。気品のある物腰によく響く声、ちょっと寂しげなまなざし、爽やかで優しいエイスケという人物像を、再放送で改めて確認し感服しました。そんじょそこらの人では演じ切れない複雑な人物像。野村萬斎という人だからこそ、カラリと明るく表現できた。「やっぱりオリンピック開会式にこの人はどうしても必要だったのではないか」、そう思わせてくれました。

関連記事

トピックス

太田房江・自民党参院副幹事長に“選挙買収”工作疑惑(時事通信フォト)
【激震スクープ】太田房江・自民党参院副幹事長に“選挙買収”工作疑惑 大阪府下の元市議会議長が証言「“500万円を渡す”と言われ、後に20万円受け取った」
週刊ポスト
2024年5月韓国人ブローカー2人による組織的な売春斡旋の実態が明らかに
韓国ブローカーが日本女性を売買春サイト『列島の少女たち』で大規模斡旋「“清純”“従順”で人気が高い」「半年で80人以上、有名セクシー女優も」《韓国紙が哀れみ》
NEWSポストセブン
村上信五とマツコ・デラックス
《不適切編集謝罪も街頭インタビュー継続》『月曜から夜ふかし』は存続できるのか? 問われる根本的な問題「一般人を笑い者にする演出」「笑いの手数を追求するスタッフのプレッシャー」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
フィリピン人女性監督が描いた「日本人の孤独死」、主演はリリー・フランキー(©︎「Diamonds in the Sand」Film Partners)
なぜ「孤独死」は日本で起こるのか? フィリピン人女性監督が問いかける日本人的な「仕事中心の価値観」
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン