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ブーム到来の「コオロギフード」環境に優しく高タンパクでヘルシー

いま最も話題のスーパーフード

巷に出回るコオロギフードの一部。ネットや大手小売り店で簡単に入手できるようになったこともブームの一因に(撮影/横田紋子)

 クッキー、せんべい、ラーメン、パンなど、次々と「コオロギフード」が発売され、話題を集めている。海外セレブも食べているコオロギの魅力は、どこにあるのだろうか。コオロギ研究の第一人者で『最強の食材 コオロギフードが地球を救う』を上梓した徳島大学長の野地澄晴さんによれば、ほかの動物にはない、コオロギの食料としての優位性は4つあるという。

【1】環境に優しい

 ほかの家畜や昆虫に比べ、飼育が容易。餌が雑食で、飼育環境を選ばないので、資源の有効活用が可能。また、牛や豚などによるげっぷや糞尿から出る温室効果ガスの排出量は多く、地球温暖化の原因になっているが、コオロギの排出量は少なく、環境負荷が低い。

【2】フードロスを減らせる

 循環型食料といわれるコオロギは、雑食性なので、廃棄された食品を餌にたんぱく質を生産できる。全世界で年間13億tともいわれるフードロスの解消に役立つ。

【3】高たんぱくでヘルシー

 体重の6割がたんぱく質。加えて、亜鉛、鉄分、カルシウム、マグネシウム、ビタミン、オメガ3といった、体に必要な栄養素を多く含む。食物繊維も多いので、腸内環境を整える効果も期待できる。

【4】無駄がない

 糞は植物の肥料に利用できる。また、成虫になるまで8回繰り返される脱皮殻の成分は、骨の再生医療など、他分野への利用が期待されている。

 コオロギはほかの昆虫と比べて食用として大きな優位性を持っていることがわかる。

 そんな大きな可能性を秘めたコオロギフードを本格的に研究・製造・販売すべく、徳島大学のコオロギ研究グループは、2019年5月にフードテックベンチャー『グリラス』を立ち上げた。その後、良品計画とコラボレーションした『コオロギせんべい』が発売され、大ヒットに至る。

「あれで風向きが変わったという実感があります」

 そう話すのは、グリラスCFOの柿内将也さん。わずか2年の間で昆虫食に対する社会の状況は激変した。

「コオロギせんべいのときまでは、最初の試作品を作っていただける会社を見つけるまでがとにかく大変でした。食品業者にとって昆虫は天敵ですから、通常の食品製造ラインに乗せられない。

 でも気持ちもわかるんです。研究メンバーも、この食用プロジェクトを始めるまでは、あくまでコオロギは生体を研究するだけで、食べるという概念がありませんでしたから」(柿内さん)

 当時は、小ロットでも扱ってもらえるメーカーに片っ端から連絡し、やっと1社から協力を得ることができるかどうかという状況だったが、いまでは、市場に流通するコオロギフードが増え、食品業者や消費者の抵抗感も少なくなってきた。

「次のステージは、品種改良ですね。われわれはいま、“陸のえび”といわれるフタホシコオロギを使っていて、それはそれでえびのような風味があっておいしいんですが、もともとは野外で生息していたものを繁殖させたにすぎません。今後は自社研究施設を作って、食用利用に適した新品種を開発する予定です」(柿内さん)

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