スポーツ

東京五輪「マイナースポーツが教えてくれたこと」はたくさんあった

総合馬術個人で4位に入った戸本一真(dpa/時事通信フォト)

総合馬術個人で4位に入った戸本一真(dpa/時事通信フォト)

 開催をめぐって議論百出の五輪だったが、スポーツの持つ魅力について再確認した人も多かったのではないか。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘した。

 * * *
 早いもので明日8日には閉幕するオリンピック。金メダルの数で盛り上がり、柔道や体操の快進撃に湧き改めてスポーツの魅力を思い知った人も多いはず。一方では世界トップクラスで盤石とされた女子テニスや男子ゴルフ、バトミントンなどでまさかのメダルを逃すハプニングが。そんな人間臭い結果もまた、スポーツの醍醐味の一つと言えるのでしょう。

 何よりも興味深かったのは、自国開催だけにぞんぶんに見ることができた「マイナースポーツ」の存在です。知らない種目に目を凝らすことができた。びっくりするような発見があった。例えば89年ぶりの快挙にあと1歩と迫った総合馬術・障害飛越。戸本一真さんがメダルを取るかどうか固唾を飲んで見守りたかった……のですがどうにも気が散って仕方なかった。なぜなら馬が飛び越える柵=障害物の装飾があまりに奇妙で。ダルマ、こけし、提灯、桜、青海波とド派手な和柄に驚く。優雅な貴族風の馬術に、こうもキッチュなギミックとは何ゆえに?

 調べてみると、実は毎回開催国のテイスト感を盛り込むことがお約束らしい。でも、今回のダルマ、ちょっとやりすぎだったかも。目が怖かったのか失敗する馬が続出。「そのせいか同じ日に行われた総合馬術個人障害の決勝ではだるまは使われず、東京オリンピックのマスコット『ミライトワ』にとって代わられた」(読売新聞オンライン 2021/08/03)というオチまでついていました。人と馬とのコミュニケーションが試される馬術だけに、大きな目をしたダルマに馬が反応? 競技場にウマがあわず失敗してしまう馬が、ちょっと可哀想な気もしました。

 さて、「目新しさ」といえば、やはりBMXにサーフィン、スケートボードなど若者カルチャーから生まれてきた新競技でしょう。日本のメダル数もすごいけれど、競技をじっくり見ることで発見もてんこ盛り。解説者が連発するユニークな言葉も話題になりました。

「メイクする(技を達成する)」「ゴン攻め(思いきり攻める)」「ゲシる(後の車輪をひっかける)」「キャンキャン(足を交差して出す)」「ビタ着(前後の車輪を同時着地)」……一般人が皆目知らない「専門用語」を連発した解説。「いい音出てますね」とスケボ解説者が言う。車輪やボードの底がコンクリートの角にこすれる音まで味わうとは。と、普段耳にしない新鮮な表現にたくさん出会えました。

 それをただ「珍しい」と面白がるだけではなく、注目すべきはそうした独特な言葉が示している「媚びないスタイル」でしょう。あくまで自分たちの世界で流通している用語を使って世界観そのままに直接的・肉感的な感動を届けてくれた。

 選手も単に「技」を競うだけでない。音楽にファッション、ストリート文化が融合している。そしてサーフィンのようにうねる海の恐怖といった環境も含めて丸ごと目撃できました。競技へのリスペクトも伝わってきて、見ているこちらもスマイルに。

関連記事

トピックス

二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン