国際情報

中国選手、五輪表彰式で毛沢東バッジ問題 「IOC恐れるな」の声も

表彰式に毛沢東のバッジを着けていたことで波紋

表彰式で毛沢東のバッジを着けていたことが波紋

 東京五輪の自転車競技女子スプリント団体で金メダルを獲得した中国チームの選手2人が、表彰台で中国「建国の父」毛沢東のバッジを胸に着けていたことが波紋を呼んでいる。「政治的中立」をうたった五輪憲章に反する可能性があり、国際オリンピック委員会(IOC)が調査に乗り出したためだ。

 中国の国営中央テレビ局(CCTV)はこれを受けて、表彰式の再放送で、両選手の毛沢東バッジ部分をぼかすなどの映像処理をしていたことが分かり、中国ではネット上で「CCTVは何を恐れているのか?」「毛沢東主席がいなければ、新しい中国は存在しない。何も隠すことはない」などとの批判が巻き起こっている。

 問題視されているのは8月2日に、金メダルを獲得した鮑珊菊(23)、鍾天使(30)の両選手が毛沢東の横顔をかたどったバッジを胸に着けて、表彰台でメダルを受け取ったことだ。

 中国では表彰式の模様がテレビで生放送されると、両選手が胸の毛沢東バッジについて、「さすがに、中国人の誇りだ。毛沢東主席も君たちを激励しているよ」などとの書き込みが出るなど、喝采を浴びた。

 しかし、IOCのマーク・アダムス広報部長は翌3日の記者会見で、両選手の毛沢東バッジ装着が政治的中立を定めている五輪憲章に違反している可能性があるとして、「中国オリンピック委員会に対し、両選手の行為について報告するよう求めた」ことを明らかにした。

 その後、CCTVの映像修正のほか、中国でユーザー数が多い「新浪微博(ブログ)」や中国政府の公式サイト「観察者」も両選手が毛沢東バッジをつけていたとの記述やユーザーの書き込みを削除した。

 これについて、ネット上では「IOCを恐れる必要はない。いやならば、戦って来い」などとの批判の書き込みが出ている。

 また、バドミントン女子シングルスで金メダルを獲得した陳雨菲選手は、自身の微博のアバターを、毛沢東の故郷の湖南省紹山の毛沢東広場にある毛主席の銅像前の選手の記念撮影の写真に換えるなど、暗にIOCの調査に抗議する姿勢を示している。

 IOC憲章の第50条では「政治的、宗教的、人種的」宣伝活動を禁止している。IOCは東京五輪に先立ち、競技開始直前であれば人種差別への抗議を意味する「膝つき」のパフォーマンスなどを容認する指針を発表したが、表彰式などの公式行事の場でのパフォーマンスは認めていない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《スクショがない…》田中圭と永野芽郁、不倫の“決定的証拠”となるはずのLINE画像が公開されない理由
NEWSポストセブン
多忙の中、子育てに向き合っている城島
《幸せ姿》TOKIO城島茂(54)が街中で見せたリーダーでも社長でもない“パパとしての顔”と、自宅で「嫁」「姑」と立ち向かう“困難”
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン