鍛冶舎監督の指導のもと技術を磨いてきた部員たち
甲子園の実績では圧倒的に上回っていても、年齢が5つ上の鍛治舎監督を立てた発言に終始した。対して、鍛治舎監督はというと。
「対戦が楽しみですね。ほんとに楽しみ。攻守に隙がなく、集中力もある。一気に攻めてくるし、我慢するところは我慢する。馬淵さん、明徳の戦いから学ぶことはある」と持ち上げたかと思えば、「ビデオで傾向と対策を練っていますが、ビデオを観なくても馬淵さんの野球は解説者時代からずっと見てきているので、だいたいわかります」とも話した。
では鍛治舎監督の考える馬淵野球とは--。
「内緒。試合が終わったら話します。選手にはいろいろと話していますが、甲子園で51勝もしている監督ですから、一朝一夕に学んで付け焼き刃になってもしかたないと思っています」
高知大会の決勝で、馬淵監督と明徳義塾のナインは、高知高校の好投手・森木大智を攻略して甲子園にたどり着いた。立役者となったのはエース左腕の代木大和だ。馬淵監督は甲子園の初戦にふた桁背番号の投手を起用するタイプの指揮官ではない。先発は代木で間違いないだろう。もし背番号「1」以外の投手が先発のマウンドに上がるならそれこそ「奇策」だ。馬淵監督が話す。
「実はおとつい(11日)に、ゲーム形式のシートバッティングに代木を投げさせているんです。本当は試合前日だったので、投げさせないつもりだったんですが、本人が投げたいと言いましてね。結果的にそれが良かった。ゲーム勘も心配してません」
一方の県岐商はエース左腕の野崎慎裕を含めて140キロを超える投手が5人そろい、エースが先発するとは限らない。試合前に頭を悩ませるのは馬淵監督だろう。
鍛治舎監督は言った。
「甲子園に入ってもうすぐ10日になる。栄養も休養も十分。春のセンバツ以降は、ピッチャー5人から6人の継投でやってきた。うちは週に500球の球数制限も関係ありませんし、ピッチャーのリレーで困ることはない。力を出せばそれなりに結果はついてくると思います」
高校野球の世界を代表するどちらのたぬきに軍配は上がるのか。
馬淵監督の51勝という戦歴を考慮していると見られる鍛治舎監督