優一氏は靴職人だけでなく歌手活動やアートの制作も行なっている

優一氏は靴職人だけでなく歌手活動やアートの制作も行なっている

 と狙っていた獲物を捕らえたような目で、僕に言った。

 自分の曲は好きだし、たくさんの人にも聞いてほしいと願っているが、この日ばかりは、iPhoneのシャッフル機能を恨んだ。

僕が週刊誌記者から「学んだこと」

 ところ変わって最近の僕の秘かなマイブームは、西さんの日頃の仕事や取材対象について聞くことだった。「週刊誌記者」といえば、芸能人や政治家ばかりを追いかけているのかと思いきや、西さんの話を聞くとそうでもないらしい。もちろん取材時の重要な秘密は明かせないだろうし、時に西さんは答えにくそうな表情をする時もある。だが、むしろ「聞ける範疇で探っていく」のは、僕が記者になったようで面白い。

・殺人犯の家族に突撃取材した時は、「複雑な気持ちだった」という話。

・学校内でのいじめを専門に探る、“いじめ探偵”という職業があるという話。

・ある政治家と新聞社の記者が「色恋沙汰」になった話。

 聞いていると、サブイボが立ちそうになる。ゾッとするほど面白い。そんななかで、最近一番盛り上がったのは、北朝鮮の金正恩総書記に革靴を作りに行こうとしたらどうなるだろう、という話だった。そもそも西さんは、中国で潜入取材をした記事で名を上げた記者で、潜入取材の極意や、アジア諸国の国民性などを聞いていると、本当に勉強になることがある。北朝鮮の方々は、すごく気さくな性格の方が多いと教えてくれた。

 僕はこの仕事をし始めてから、ニュースで見る大統領や、舞台上の役者さん、車から降りたタクシー運転手さんなど、どんな人でも靴を見てしまうようになったこともあり、金正恩総書記がどんな靴を履いているかというのは、これまでも興味があった。

 そこで靴の製作中ではあったが、僕はネットから金正恩総書記の写真を探した。「履いている靴には何センチか底上げのヒールが隠されているのかもしれない」「使っている革はどんな素材で、作っているのは北朝鮮の職人さんなのだろうか」など、細かいことを夢想した。

 同時に西さんは、北朝鮮に正式に入国する方法を探し、取材許可は降りるのかを真剣に調べ始めた。そしてどれくらいの期間北朝鮮にいれば「金正恩総書記の関係者に近づけるのか」について、真剣に考え始めた。

 文章で書いていると滑稽に見えるかもしれないが、議論している時間は二人とも、本気の顔をしていた。靴職人と週刊誌記者が二人でいる時間を重ねると、こんなことで盛り上がるのかと、新しい発見があった時間だった。

 妙な形ではあるが、最近は二人が少しずつ共存しているような気がしている。

■取材・文/花田優一(靴職人・タレント)

関連キーワード

関連記事

トピックス

佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着を露出》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン
水原一平とAさん(球団公式カメラマンのジョン・スーフー氏のInstagramより)
「妻と会えない空白をギャンブルで埋めて…」激太りの水原一平が明かしていた“伴侶への想い” 誘惑の多い刑務所で自らを律する「妻との約束」
NEWSポストセブン
福井放送局時代から地元人気が高かった大谷舞風アナ(NHKの公式ホームページより)
《和久田麻由子アナが辿った“エースルート”を進む》NHK入局4年で東京に移動『おはよう日本』キャスターを務める大谷舞風アナにかかる期待
週刊ポスト
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
《豊田市19歳女性刺殺》「家族に紹介するほど自慢の彼女だったのに…」安藤陸人容疑者の祖母が30分間悲しみの激白「バイト先のスーパーで千愛礼さんと一緒だった」
NEWSポストセブン
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン