『TOKIO』(1980年)のド派手な衣装。キラキラの電飾スーツに紅白のパラシュートという斬新な衣装に度肝を抜かれた(写真/女性セブン写真部)
同じミュージシャンであるダイアモンド☆ユカイも、ジュリーの声に魅了されたと語る。
「1986年に歌手デビューしてから、沢田さんのコンサートには数回ほどしか行けない時期もありましたが、久しぶりに行った武道館のコンサートで、めちゃくちゃ声が出ていて驚きました。全盛期より声が出ているんじゃないかというくらい、武道館中に声が響いていた。その頃の沢田さんは、少し太っていたんですけど結構動き回っていて、本当にすごいなと。そして、世間の声を気にせず自分の世界を自由奔放に歌うその姿は、まるで日本のボブ・ディランのようだなと思いました」(ユカイ)
忖度なしのメッセージを歌に込め、発信
今年73才を迎えた沢田研二は、《円熟期》に入っても、その活動は衰えることがない。
特筆すべきは、沢田研二のバックバンド『エキゾティクス』や『鉄人バンド』などで活動をともにした、ギタリストの柴山和彦(68才)と2人だけで毎年行っているライブツアーだ。
開演直前のドタキャン事件で話題になった2018年の『古希記念ライブツアー』からこのスタイルとなり、今年の『沢田研二2021 ソロ活動50周年ライブ「BALLADE」』でも、各地を回っている。そのコンサートの印象をスージー鈴木さんは次のように語る。
「東京国際フォーラムという大きなホールでも、演奏はギター一本。本当に逃げも隠れもできないような簡素な編成で、2時間を歌い切る、沢田研二は見事です。特にコード進行を変えてアレンジした『TOKIO』は、コロナ禍の東京というのを表現している感じで、味わい深かったですね」
9月からは、その追加公演『BALLADE』(11月3日まで)が開催予定だ。
そしてもう1つ、忘れてはいけないのが映画『キネマの神様』。この作品では、久々に俳優・ジュリーの姿が拝めると、話題だ。
かつて、志村けんさんとジュリーは、『8時だョ!全員集合』(TBS系)でスターと付き人のコントをよくやっていた。その縁で、志村さんが熱望した役柄の代役をジュリーが引き受けたといわれているが、人との縁を大切にするところもジュリーの魅力のひとつだ。今年、50周年という節目を迎え、さらにどんな世界を見せてくれるのか、ジュリーから目が離せそうにない。
【プロフィール】
スージー鈴木/音楽評論家。1966年生まれ、大阪府東大阪市出身。野球評論家、小説家、ラジオでも活躍。著書多数。
ダイアモンド☆ユカイ/ミュージシャン。1962年生まれ、東京都田無市出身。『RED WARRIORS』のボーカルとしてデビュー。俳優、声優、タレントとしても活躍中。
取材・文/北武司 写真/女性セブン写真部 写真提供/國府田公子
※女性セブン2021年9月2日号