国内

池袋暴走事故 判決前の遺族・松永拓也さんが110人に届けた言葉  

2019年に起こった池袋暴走死傷事故で犠牲となってしまった松永真菜さんと長女・莉子ちゃん。遺族である夫の松永拓也さんは、真菜さんは恥ずかしがり屋だったから、写真を公開することを毎回迷うという。それでも、「生きていた時の写真や動画を見て、多くの人に交通事故の現実を感じてほしい。そして事故がひとつでも防げるなら」という思いをもって写真を提供してくれた。

2019年に起こった池袋暴走死傷事故で犠牲となってしまった松永真菜さんと長女・莉子ちゃん。遺族である夫の松永拓也さんは、真菜さんは恥ずかしがり屋だったから、写真を公開することを毎回迷うという。それでも、「生きていた時の写真や動画を見て、多くの人に交通事故の現実を感じてほしい。そして事故がひとつでも防げるなら」という思いをもって写真を提供してくれた。

 2名が亡くなり9名が重軽傷を負った池袋暴走死傷事故。妻・真菜さん(当時31才)と長女・莉子ちゃん(当時3才)を亡くした松永拓也さんは、無罪を主張する飯塚幸三被告との裁判を行いながら(9月2日に刑事裁判の判決公判)、「ふたりの命を無駄にしないためにも、二度と交通事故が起きない社会を作りたい」と交通事故撲滅活動を続けている。

 そして、尊い命を守っていくことへの意義を感じ、「一般社団法人 関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」の副代表理事に就任する決断をした。

 事故の後、「生きていても意味がないんじゃないか」と命を絶ってしまおうとさえ思い詰めていた松永さんに一筋の道を示してくれたのが、「関東交通犯罪遺族の会」代表理事・小沢樹里さんからの「一人で悩まないでください」という手紙だった。

 多くの人は「交通事故で人が亡くなった」と聞けば、「かわいそうに」と思うだろう。しかし自分事として受け取ることができるだろうか。松永さんも「交通事故は映画やドラマの中の出来事で、自分達とは違う世界、とどこかで思っていたところがあります」と話す。

 突然、大切な家族を奪われたり、後遺症の残る怪我を負う被害者になってしまうかもしれないこと。また、安全運転を怠たることで加害者になってしまう可能性もあること。そうした実感を持つのはなかなか難しい。

 交通事故によって、あたりまえだった生活が突然大きく変わってしまうことを改めて心に刻む機会となったのが、松永さんら交通犯罪遺族が体験を語る「第1回命の里プロジェクト」だ(8月22日、オンラインで開催)。

 これまでも被害者支援や交通事故被害について伝える学生向けのプロジェクトなど行ってきた「関東交通犯罪遺族の会」が、7月に一般社団法人として登録して初のイベントとして特に思いをこめて開催された。

 募集を開始してすぐ定員になった参加者110名は若い世代から高齢の方まで幅広く、またボランティアが運営するなど、交通事故をなくすためへの世間の関心の高さが伺えた。

 遺族のリアルな言葉には、何より「思い」が詰まっている。その気持ちを伺うことで、交通事故がどんなに悲惨か、起こしてはいけないものかがより強く実感できる。

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト