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交通事件に限らず、犯罪の被害に遭うと、それまで全く予想していなかった生活状況になってしまう。東京都で被害者等支援に携わる東京都総務局人権部被害者等支援専門員の横田美雪さんは話す。
「ご自分やご家族が被害を受けたということを現実のものとしてすぐには認識することができません。その中で警察に呼ばれて話をしたり、病院に行ったり、お葬式の準備をすることになったり、役所で様々な手続きが必要になります。予想していないことですから、混乱したりどうしていいかわからなくなったりして当然です」
犯罪の被害に遭うと、まず身体を傷つけられたり、家族を亡くしたり、財産を奪われるなどの「直接的被害」がある。それから、精神的なショックやそれによる心身の不調、失業、医療費などの経済的被害、捜査や裁判への対応による精神的・時間的負担。メディアの過剰取材や周囲の心ない噂や中傷による精神的苦痛と言った「二次的被害」に見舞われる。
そんな被害者を支援する場所が各都道府県には必ずある。被害者支援センターや医療機関、保健所、精神保健福祉センターなどだ。こういった支援先があることを覚えておきたい。
しかし最も重要なのは、被害者をひとりでも減らすことだ。「防げる交通事故はたくさんある。思いやりのある優しい運転をすることで、事故は少しずつ減らせます」と松永さん。
ドライバーだったらまず常に忘れず安全運転を心がける。あたりまえかもしれないが、ひとりひとりができることを考えていこうというきっかけとなった。このように悲しい話がこれ以上語られることのないように。