国内

せっかちだった田中角栄氏 「一服のときだけは心休めていた」と元側近

田中角栄元首相のタバコにまつわる思い出を元衆院議員の石井一氏が振り返る

田中角栄元首相のタバコにまつわる思い出を元衆院議員の石井一氏が振り返る

 喫煙者がどんどん減っている今の時代だが、昭和という時代では、タバコの煙が身近な存在だった。昭和の大政治家も、タバコの煙をくゆらせながら、日本の未来を考えていたという──。元衆院議員の石井一氏が田中角栄元首相のタバコにまつわる思い出を振り返る。

 * * *
 オヤジはゴルフが好きで、若手議員をよくラウンドに誘ってくれました。僕も数えきれないぐらい誘ってもらった一人ですが、とにかくせっかちで、歩くのが速い。第一打を打ち終わったと思ったら、クラブを何本か持ってすぐに第2打地点に向かってスタスタ歩き出す。「ゴルフは考えちゃいかん」が口癖で、ティグラウンドで球を打つのも早かった。

〈国土庁長官、自治大臣などを歴任した元衆議院議員の石井一氏は、田中角栄元首相の側近中の側近で、「田中軍団の青年将校」とも称された。角栄の“せっかちゴルフ”は知る人ぞ知る話だが、タバコを吸うときだけは違ったという〉

 プレーを中断して、美味そうに一服しながら、よく政局の話や人物評なんかを語ってくれました。ゴルフ場なら周囲に誰もいないから、“墓場まで持っていくような話”もありましたね。ホールアウト後にはシャワーを浴びて、レストランで水割りを飲みながら、また一服する。

 常にポケットに入れていたのはマイルドセブンの箱でした。僕はピースを吸う真のヘビースモーカーですが、オヤジは気分転換に吸うことが多かったように思います。タバコは持っているけど、ライターを持っていない。しょっちゅう「ライター持ってないか?」と催促されましたよ。

 好きなゴルフや会議の後など、ホッとひと息つくような時間に、とにかくゆっくり美味そうにタバコを吸う姿が記憶に残っています。あと、重要な話をするようなときにも、本数が進んでいましたね。私もその癖がうつって、いまだに1日30~40本吸っています。

 当時は、国会でも本会議場以外はどこでも喫煙できた。委員会でもみんな平気で吸っていましたよ。タバコを吸わない人が煙たがっていると、「どっかに行け」と言えた時代だったからね。いまは逆になっちゃったけど、僕に言わせればタバコは滋養の素ですよ。

〈石井氏は現在、日本ジャズ音楽協会会長を務めているが、その会長挨拶文には《幾多の困難な政局の荒波を乗り越え、心身の衛生を保つことができたのも、ジャズとタバコの与えてくれる“至福のひととき”がもたらしてくれる開放感と安らぎがあればこそのことだと思います》とある。もし角栄が現代の禁煙・分煙の厳格化を目にしたら、一体どのように対応していただろう〉

 もちろんオヤジだって分煙などのルールには従うだろうけど、場合によっては「そんなこと(禁煙)やめとけ」と言うかもしれないね。「そんなに悪いものなら売らなければいい」とハッキリ言っていたかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン