芸能

谷隼人が語る千葉真一さんの思い出「爆薬の中で『おい、飛び降りるぞ』」

俳優・谷隼人が千葉真一さんとの思い出を振り返る(時事通信フォト)

俳優・谷隼人が千葉真一さんとの思い出を振り返る(時事通信フォト)

 日本のアクション映画を切り開いた第一人者、千葉真一さんが逝去した(享年82)。銀幕の彼の姿は、なぜこんなにも観客の心を鷲づかみにしたのか。出世作『キイハンター』(1968~1972年)にまつわる秘話を、俳優・谷隼人が明かした。

 * * *
 当時はまだ東映に入って3年目。ペーペーの僕は、『キイハンター』シリーズでは“坊や”みたいな存在でした。メインどころの丹波哲郎さん、野際陽子さん、千葉真一さんに付いていくだけで精一杯でね。でも、あれほど貴重な5年間はなかった。

〈1968年に放送がスタートしたアクションドラマ『キイハンター』(TBS系)。東映が制作を担い、深作欣二、佐藤純彌といった名監督が演出を担当した同シリーズは、国際犯罪を題材に外国人キャストもふんだんに起用し、最盛期には視聴率30%超を連発。千葉を国民的スターに押し上げた。谷は新人諜報員役で出演し、ボス役の丹波、先輩の野際、千葉に可愛がられながら成長していく役どころだった〉

 半年、1年たって徐々に自分も人気が出てきて、千葉さんと絡むシーンも増えてきました。千葉さんは日体大時代に体操でオリンピックを目指していたような人。かたや私は夜の街で黒服を着ていた不良。一緒にアクションするのは、それは大変でした。御殿場のロケでは、ジープに乗っていたら「おい谷、飛び降りるぞ!」って。走ってる車からですよ。爆薬が仕掛けられているなか、必死に身体を丸めて転がるように飛び降りました。まだスタントマンもいないし、俳優が全てやらなければならない時代。運動神経抜群の千葉さんはいいですけど、こちらはたまらない(笑)。

 千葉さんは“身体での表現”に徹底的にこだわる人でした。しょっちゅうスタッフと演出のアイデアをぶつけ合っていて、爆発して吹っ飛ばされるシーンでトランポリンを使ったりね。今ならワイヤーを使って簡単に再現できるようなアクションを、試行錯誤しながら現場で試していた。

 千葉さんは『キイハンター』で、アクションの立ち回りを改革した人でもありました。それまでのアクションは、例えば相手を捕まえて、はい、殴る……というように、ゆっくりしたテンポだったのが、襲い掛かってくる相手にいきなりカウンターを入れたり、“動きの速さ”を初めて見せた。細かい動作や相手との間合いの取り方まで、いろいろ教えてもらいました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト