マスク姿の大門未知子に注目が集まる
「大きな問題になると考えられるのが『マスク』です。コロナ禍を描くとなると病院内のシーンはもちろん、ほとんどの場面でマスクの着用が必要となります。俳優たちの演技力を楽しむのがドラマの醍醐味ですからキャスト全員がマスク姿になるのは視聴者が興ざめしてしまうリスクがある。だからこれまでほとんどのドラマが避けてきたのです」(同前)
だが、例外もある。2021年1~3月に放送された元TOKIOの長瀬智也(42)主演の『俺の家の話』(TBS系)だ。宮藤官九郎脚本の同作では、コロナ禍の現実に即して登場人物がマスクをしていた。これが“最後のドラマ”だった長瀬と父親役の西田敏行の好演もあって、各界から賞賛を浴びた。三杉氏はこうした流れに加えて、「今回の『ドクターX』がドラマ界の常識を変えるかもしれない」と指摘する。
「『ドクターX』にも出演する西田敏行しかり演技派揃いの『俺の家の話』では、マスク越しでも視聴者をドラマに引き込むだけの迫力がありました。病院が舞台の『ドクターX』では重要なシーンのほとんどがマスク着用になるでしょう。マスクによって大門未知子の『私、失敗しないので』など“大見得を切る”シーンがどのように変わるのか。米倉涼子の演技は大きな注目を集めることになると思います。逆に言えば、米倉ならそれができるという関係者の高い評価があるからこそ、意欲的なテーマに挑戦できたということではないか」
もしかすると今作を機に、俳優たちの実力を測る指標が「マスク越しでも視聴者に喜怒哀楽を伝えられるかどうか」という“新様式”になるかもしれない。