ライフ

人気の昆虫食 蟋蟀、水爬虫、蝗、蚕など 栄養価高く環境負荷は少ない

昆虫が様々な料理に昇華

昆虫が様々な料理に昇華(写真は「地球を味わうコース料理」。撮影/矢野宗利)

 畜産由来の温室効果ガス排出問題や、世界的な人口爆発に伴う食糧問題の解決は喫緊の課題だ。その中で持続可能な 「新しいタンパク源」として「昆虫食」に注目が集まっている。具体的にはコオロギ(蟋蟀)、タガメ(水爬虫)、イナゴ(蝗)、カイコ(蚕)などだ。

 古くからタンパク源として日本で食べられてきた昆虫を、革新的な料理に昇華して提供するレストランが東京・日本橋馬喰町の路地裏にひっそりと佇む。2020年6月4日(虫の日)にオープンした「ANTCICADA(アントシカダ)」は、「地球を味わうコース料理」(金・土曜、全10品、ペアリングドリンク付き1万1000円)と「コオロギラーメン」(日曜、1100円)の2営業形態で昆虫食の魅力を発信し、人気を集めている。

 昆虫を使った料理を中心に全10品で構成する「地球を味わうコース」は、初めて体験する味とサプライズの連続だった。1皿目からアクセルは全開。強い味わいのフタホシコオロギと凛とした旨味のヨーロッパイエコオロギをブレンドしてとった出汁を固めて揚げたスナックは、香ばしく、サクサクとした食感に手が止まらなくなる。燻製にした唐辛子などで作るパウダーがアクセントを加える。

 一つひとつの料理にペアリングドリンクが付いてくる。昆虫や野草、ジビエは日本各地から集め、自家製のコオロギ醤油やカイコ醤油、イナゴ醤なども使用。昆虫食の総合芸術のような趣向を味わえる。昆虫食歴23年のオーナーによる本や写真、実物を見せながらの昆虫の生態や調理法の説明も楽しい。地球を冒険するような食体験は昆虫食のイメージを一新させる。

「米とサーカス 渋谷PARCO店」は、昆虫食に注力する居酒屋「米とサーカス」(本店・高田馬場)が2019年、渋谷にオープンした支店。国産、輸入の多彩な昆虫を様々な料理やデザートで使い、見た目からは想像がつかない食感や風味を気軽に楽しめる。

 同店の一番人気は「六種の昆虫食べ比べセット」(1980円)。取材日はタガメの塩漬けを温めたもの、イナゴやカイコのサナギの佃煮、ゲンゴロウやバンブーワーム、コオロギの素揚げがお盆に載って登場。タガメの内臓を口にすると洋梨のような香りが広がり驚く。客層は好奇心旺盛な20代~30代半ばが目立つが、昆虫食を懐かしんで訪れるシニア世代も多いという。

 日本が世界に誇るカイコと食で“日本発の代替タンパク質”を世界中に普及したい──。その思いから2018年に創業したのが、高栄養価のカイコを原料に使った次世代食品「シルクフード」を開発・販売するスタートアップ企業のエリー(東京・中野区)だ。

 同社オンラインショップで今夏に販売開始した「SILK FOOD チップス」(2袋1100円)は山形県の老舗・酒田米菓と共同開発し、パリッとした食感、カイコの旨味と香ばしさを実現した。エリーの梶栗隆弘社長は「カイコはナッツの風味に似たコクと甘味が特徴で、調理や加工の仕方でエビやカニのような風味にも。今後も様々な食品を展開していきたい」と語る。

●ANTCICADA 東京都中央区日本橋馬喰町2-4-6
コオロギラーメン:日曜 11時~15時・17時~20時
コース料理(予約制):金曜 17時半~、土曜12時~・17時半~月曜~木曜

●米とサーカス 渋谷PARCO店 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO地下1F
営業時間:11時半~20時、火曜のみ17時~20時
定休日:無

●エリー https://www.ellieinc.co.jp/
SILKFOOD チップス  2袋1100円

※週刊ポスト2021年9月17・24日号

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
高橋一生と飯豊まりえ
《17歳差ゴールイン》高橋一生、飯豊まりえが結婚 「結婚願望ない」説を乗り越えた“特別な関係”
NEWSポストセブン