「(1)感染源がある、(2)感染経路がある、(3)抗体などの免疫機能が十分でない、の3つの要素がそろうと、新型コロナウイルスの感染が成立します。つまり、感染対策においては、この3つの要素のうちひとつ以上を取り除くことが重要です。
感染経路を遮断するマスクは、要素(2)に対して有効な手段です。マスクを着けられない人であっても、手洗いやソーシャルディスタンシングによって、(1)の要素をコントロールすることはできます。また、ワクチン接種は(3)の要素をできるだけ取り除こうというものです。
もちろん、密な環境でノーマスクで大声でしゃべるような人は、今の状況下では問題外ですが、マスクを着用していない時でも(1)と(3)の要素には気をつけられます。この3つの要素を踏まえて考えると、マスクだけで感染対策について誰かを批判しても仕方ないことがわかります。しかもマスクを着けている人たちが、正しい方法でマスクを着けられているかと言えば、残念ながら答えはノーです」(大西氏)
マスクを着けられない理由には、さまざまな理由による感覚過敏(聴覚、触覚、視覚、嗅覚などの刺激に過敏に反応してしまうこと)などが挙げられる。大西氏は、コロナ禍の前から、マスクを着けられない人々の相談に乗ってきた。また、自身もマスクで肌荒れを起こしやすく、「マスクを着けたくない」という感情は理解できるという。その上で、大西氏は、マスク生活に不満を持つ人々にこのように呼びかける。
「『息苦しいし、肌が荒れる。だからマスクは悪いものなんだ』ではなく、そういったデメリットと、コロナに感染するリスクを天秤にかけて選択することが大切です。また、正直なところ、『マスクが及ぼす悪影響』のような情報には、こじつけのようなものも多くあります。いろいろ研究開発が進み、感染経路を遮断する効果があった上で呼吸もしやすいマスクというのは市場にすでに存在します。なので、マスクはダメだと切り捨てず、自分に合ったものがないか、ぜひ探してみてください」(大西氏)