仮面ライダーシリーズの最新作『仮面ライダーリバイス』が早くも話題を呼んでいる。これまで仮面ライダーの主人公の職業にはフリーター、バイオリン職人、カメラマンなどがあったが、今回の主人公は実家の銭湯を手伝っているという設定だ。仮面ライダーに詳しいコラムニストのペリー荻野さんが斬新な設定と見どころについて解説する。
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5日にスタートした『仮面ライダーリバイス』。令和仮面ライダー第三弾にして、仮面ライダー生誕50周年記念作品だけあって、驚くべき要素がいっぱいだった。
主人公・五十嵐一輝(前田拳太郎)は、正義感が強い気のいい青年。優等生の弟が政府直属の特務機関フェニックスに入ることを喜び、応援に行った会場に凶悪な怪人たちが現れる。それは恐怖の悪魔崇拝組織デッドマンズによって作り出された怪物で、一輝はとっさに自分の中から現れた悪魔バイスと契約して実体化させ、さらには自ら仮面ライダーに変身。見事、怪物をやっつける。
一輝は「仮面ライダーリバイ」、悪魔は「仮面ライダーバイス」、ちょっとややこしいが、一人で二人の「仮面ライダーリバイス」登場となった。
悪魔と相棒の仮面ライダーというだけでも、十分にびっくりだが、私が驚いたのは、今後も仮面ライダーとしての活躍を期待された一輝が「銭湯を守るという使命がありますから」とあっさり断ってしまったことだった。なにっ!?
実は五十嵐家はご近所に愛される銭湯「しあわせ湯」を経営しているのである。ショッカーと死闘を続けた藤岡弘、の「仮面ライダー」世代である私などは、「世界平和が大事だろ!」と思ってしまうが、そりゃ、家業も大事。令和のライダーは現実的なのである。
ここで注目したいのは、一輝の父親・元太を演じているのが、戸次重幸ということだ。戸次といえば、かつてテレビ東京のドラマ『昼のセント酒』(原案は『孤独のグルメ』の久住昌之)で仕事の途中、昼間から大好きな銭湯に入り、近所の店で生ビールをぐびりとやって「申し訳な~い」と背徳と喜びに身をもだえるダメ営業マンを演じていた。銭湯イメージ直結俳優である。
思えば、今年は銭湯関連ドラマが多い。1月から放送された北山宏光と佐藤勝利が出演の日本テレビ「シンジラ」枠の『でっけぇ風呂場で待ってます』は、お湯がトムヤムクンになったり(!?)「私を満足させてくれ!!」と風呂の神様が現れたり、光石研が出たりして毎回大騒ぎだったし、朝ドラ『おかえりモネ』ではヒロイン百音が幼なじみと元銭湯だったシェアハウスに住んでいる。