ある高級ホテルの「ママと息子の初めてのお泊まりデート」プランがネットで炎上し、中止となった。自動車メーカーのCMでも、母と息子の親子デートを描き、賛否を呼んだ。ただ、近年確実に“ママと息子”の関係は変化している。
「高度経済成長の影響で専業主婦世帯が増えた1950〜1970年代、理想の息子を育てようと教育に力を入れる過干渉な母親、いわゆる“教育ママ”が台頭。この頃から母親と息子の関係性が濃くなっていきました」
とは、社会学者の田中俊之さんだ。この時代の理想の息子像とは、高学歴・高収入を得られる存在になる、ということ。現在の、母親と仲よくお出かけをしてくれる“娘のような息子像”とは違う。
「教育ママ時代の母親は、子供にとって強者であり、立場の違う存在でした。そのため、息子を自分と同じ立場である“恋人”に見立てることは少なかった。ところが、いまの母親は息子との関係に、友達のようなフラットさを求める傾向にあります。立場を同じにした親密さを親が求めるようになったため、“息子とデート”といった考え方が生まれてきたのではないかと思います」(田中さん)
現在も、親と子、夫と妻、それぞれの立場や力関係を踏まえている人は、「息子とデートなんて気持ちが悪い」と感じるのだろう。実際、夫より息子が好きな母親は約7割(※1)だったが、これはあくまで、自分とは立場の違う子供として好きなのであって、「母と息子が恋人のような関係を築く風潮」については、否定的な意見が多かった。
【※1 息子がいる30~80代女性500人(全国)にアンケートを実施(2021年8月23〜24日)。パイルアップ調べ】