時代錯誤と言われるかもしれないけれど、「飲み会要員」だっていいと田村さん
独立開業、プロポーズも自分から 他人に期待しない流儀
──「最悪のケースを想定する」という考え方が、田村さんの仕事の根本を支えています。
田村:根がネガティブでして……。私から見ると、楽観的だなあという人が世の中には多くて、うらやましいですね。私は自分に自信がないんです。心配性で不安症。だから、スケジュールは必ず前倒して進めますね。「自分は必ずミスをする」と想定して仕事することで、今のところ、大きなミスなくやれているんだと思います。それでも、たまにミスをして怒られたりしますけど。これだけ意識してるのに、ミスをする自分もどうかと思いますが。
──自分に自信がないということですが、一方で、受け身ではありません。会社員を経て独立開業。プロポーズも田村さんから。「主体性」が成功へのカギでしょうか。
田村:本当に暗いんですが(笑)、「性悪説」で生きているので、人をあまり信じていないし、人に頼れないんですよ。頼れないし、期待していない。人と同じくらい自分のことも信じてないんですが、とはいえ、自分のことは自分で責任を取るしかないですよね。最終的に、自分のことは自分でしか守れないという気持ちがあります。
今は結婚して子供を産んで、平穏な家庭があるので、この環境を壊したくないと思っていますが、夫から突然離婚を切り出されることもあると思っています。縁あって結婚しましたが、家族になったからって夫の本心は私にはわかりません。先のことがどうなるかなんて誰にもわからない。だからこそ、最低限生きるためにお金は必要ですから、離婚しても生きていけるよう、経済的に自立して、長く働いていかなければと思っています。
──それだけキャリアを重ねられてきても、自信はついていないですか?
田村:自信をつけるには資格は手っ取り早くて、資格をとってそれなりに経験を重ねることで、昔よりはついてきたと思います。でもやっぱり、もともと大した能力がないことがわかっているので、先ほど言ったように、税理士業がいつまでできるか、という不安は常にあります。
本を読んでくださった方から、「この著者、全然普通じゃない」と、お叱りなのか、お褒めなのかわからない、ありがたい言葉をいただきました。自分としては、普通に生きていくために、どうにかこうにか“ガワ”だけ作ってきた結果が今なんですよね。