100回の合コンでつちかった「コミュ力」。人の話を聴く秘訣は?
得るものがあれば「飲み会要員」でもOK
──「デキる人」より「気さくな人」を目指そう、というのは、自分を「普通」と認識する田村さんらしい発想かもしれません。しかしそれは、「媚びる」ことは違いますね。
田村:私は社会に出て、生きやすくなったんです。学生時代は、基本的に、評価がペーパーテストだけですよね。でも、仕事って、評価軸が複数あります。ペーパーテストで満点取れるような人でも、コミュ力によって、評価が下がったりする。私は、人の話を聴くことがそれほど苦痛じゃないので、なんとか仕事が回っているふうに見える側面があります。そしてこれは、容姿を武器にできなかったこそ、身に付けた力なんですよね。
──学生時代の100回の合コンで培われたコミュ力ですね。
田村:頑張りましたよ(笑)。もうね、最初は無視され続けたんです。まあ、男の人の気持ちになってみれば、可愛い女の子とか、好みの女の子と喋りたいですよね、わかります。でも、私はブスだから無視されるんだ、で諦めたらダメだろうと思って、いろいろ作戦を練っては試し、PDCA(計画、実行、確認、改善)を回していったんです。単純な話、まずは笑って聞いてりゃいいんです。で、相手を観察して、興味とかニーズ、空気を読んで会話すれば、コミュニケーションって成り立つんです。これはもう全部、仕事につながっていますね。
──「飲み会要員」として重宝されるのも一つのスキルと書かれています。以前、「飲み会を絶対断らない女」という元内閣広報官の発言が議論を呼びました。今はコロナで無理ですが、それ以前から、飲みニケーションは時代遅れとみる向きもあると思いますが、いかがですか。
田村:仕事で認められるなら、それがいいに決まっています。ただ私は、就職した税理士事務所で本当に仕事ができなかったので、「飲み会要員」となることで自分の立ち位置を確立しました。
時代錯誤かもしれませんが、飲み会は、コミュニケーションを深めるにはいい場だと思っています。ただ、闇雲に行けばいいとは思いません。大事なのは、目的意識を持つこと。話したことのない人と話してみようとか、苦手な上司との距離を縮めてみようとか。私は、行くからには何らかの「成果」を持ち帰る意気込みで飲み会に行っていました。得るものがないと思ったら、断っていました。時間は有限ですから。