トヨタのいう品質は「均一で壊れないこと」
パワステに関して言えば、レーントレーシングアシスト(※車線を逸脱しないようステアリングをアシストする機能)を使うために、わざわざ油圧パワステを残したまま、その上に電動アクチュエーターを追加しています。そんなところを二重にするなんて前代未聞です。それでも「ランドクルーザー」は、今どきの効率よりも「信頼性」を優先しているのです。
東京のような大都会であれば、故障しても実のところそれほど困りません。しかし隣町まで900kmも離れた砂漠の道を走るときや、アフリカの未舗装の道を数百kmも走るときに、誰もが重視するのは「壊れない」、「どんな悪路も走破する」という性能でしょう。
そうしたクルマを70年以上にわたって供給し続けたからこそ、「ランドクルーザー」は、世界で高いステイタスと信頼性を得ることができたのです。
ちなみにトヨタのエンジニアと話をすると「品質が~」という言葉をよく耳にします。面白いのは、その品質とは「きれいで良くできている」というものではなく「均一で壊れないこと」を意味しているのです。
この「品質」こそが、トヨタらしさであり、それが最も色濃く表れたクルマが「ランドクルーザー」と言えるのではないでしょうか。