「不良品」という無駄を作らない
振り返ってみれば、1960年代から1990年代にかけて、世界市場に本格的な4WD車は少数派でした。
ざっくり言えば、英国のランドローバー(レンジローバー)とジープなどのアメリカ車、そしてトヨタと日産、三菱自動車などの日本車4WDです。イタリアやフランス車にオフロード車はないし、ドイツ車は軍用車をルーツに持つメルセデス・ベンツGクラス程度です。
そうした顔ぶれの中で、日本車の耐久性・信頼性は抜きん出ていました。トヨタ自慢の「トヨタ生産方式(ジャストインタイム/かんばん方式)」の狙いは無駄の排除です。そこには「不良品という無駄を作らない」ことも含まれます。
一方、英国は1960年代から「英国病」と呼ばれる状況で製造業の力が激減。アメリカもベトナム戦争以降、徐々に国力を落としており、自慢の自動車産業の調子もイマイチ。オイルショック後は、燃費の良い日本車の人気が高まり、1980年代には日本車を標的にしたジャパン・バッシングが起きるほどに。
つまり、アメリカ車と日本車は対等、もしくは小型車に限っては、圧倒的に日本車優位という状況になっていました。
その理由のひとつが、トヨタを代表する「高品質=壊れない」という特徴です。今では考えにくいのですが、1980~1990年代くらいの英国車やアメリカ車は、日本車と比べると本当によく壊れました。特に、走行距離の伸びた古い中古車での差は明確でした。
しかも、そんな優秀な日本車の中でも「ランドクルーザー」は、特異なほど「信頼性」にこだわった1台だったのです。