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自民党総裁選 「派閥の力学」で勝利した岸田氏と河野氏の誤算

岸田文雄氏(時事通信フォト)

新総裁に選出された岸田文雄氏(写真/時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、9月29日に投開票が行われた自民党総裁選挙について。

 * * *
 たった1票でも勝ちは勝ち。自民党総裁選1回目の投票では、わずか1票差で岸田文雄前政調会長が河野太郎行政・規制改革相を抑え、決戦投票では87票差で「圧勝」とさえ言われる勝利となった。自身が総裁となって「生まれ変わった自民党」をアピールしたかった岸田氏としては、トップのまま勝利したという展開が出来たのだ。甘利明税制調査会長が「神様の采配」と言ったように、これほど価値のある1票もなかっただろう。

 選挙では1位を獲ることが重要だ。2009年、民主党政権下で行われた事業仕分けで、次世代スーパーコンピューター開発に対し蓮舫参院議員が言い放った「2位じゃダメなんでしょうか?」という発言ではないが、1位じゃなきゃダメなのだ。

 大方のメディアや政治評論家、コメンテーターの予想に反し、本選投票で河野氏の票は伸びなかった。議員票の2位は高市早苗前総務相の114票で、河野氏は86票の3位。岸田氏と高市氏は、どちらかが河野氏と決選投票になった場合、両陣営が協力することで合意していたというし、トップの候補者が勝者になるのは当然という心理も働いただろうから、決選投票の結果は目に見えていたと言える。

 誰が誰を支持したとか、派閥の票を一部流したとか、メディアはさまざまな情報網を駆使して票読みをしていたが、票の切り崩しや引きはがしが最後の最後まで行われた永田町で、票の動きに大きく作用したのはやはり派閥の力学だった。

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