社員全員が自律的に選択できる働き方を
――異業種ですが、たとえばタニタではフリーランス制度を導入し、正社員時代にしていた仕事も引き続き、業務委託という形で請け負いつつ他社の仕事もするといった制度があります。
黒田:プロフェッショナルな能力やスキルに対して、モチベーションを上げる雇用制度や報酬制度で応えていくのは今後、いろいろな企業で実施すべく動いていくでしょう。我々も検討はしています。
ただ当社にも労働組合がありますし、社内の制度や仕組みは、できるだけ社員全員に対してフェアでないといけません。そういう日本的なフェアネスの、いい制度のしがらみの悩みはありますね。
そこは全員に対してフェアという点以上に、社員全員が自律的に選択できる形が大切であり、選択肢の多様性をどううまく作るかが、今後の働き方や人事制度でポイントになってくるのではないかと思います。
コクヨの5代目社長、黒田英邦氏(45)
【プロフィール】
黒田英邦(くろだ・ひでくに)/1976年兵庫県生まれ。甲南大学、ルイス&クラークカレッジ卒業後、 2001年4月コクヨ株式会社入社。ファニチャー事業の法人営業、経営企画部長、代表を経て、2015年より代表取締役社長に就任。
●聞き手/河野圭祐(経済ジャーナリスト)
●撮影/内海裕之