「個室型ブース」の需要急増
――しかし現在のコロナ禍ではテレワークがかなり増え、オフィスの余剰感からスペースを縮小したり移転縮小する企業も増えています。
黒田:確かに、昨年はコロナ禍でオフィス不要論が結構、盛り上がりましたし、センターオフィスを狭くしていく流れは、コロナ後も一定の割合では続くでしょう。ですがその分、オフィスで人の心を掴むというか、社員同士の関係性を強めるための場を作る投資は、これからも形を変えて進んでいくと思っています。
仮に今後も在宅勤務が増えるのであれば、在宅での仕事環境を良くするための、要は福利厚生投資を積極化する企業も増えてくるのではないでしょうか。
――テレワーク比率は業種、あるいは個社ごとに違いますが、コロナ禍でオフィス空間に求められる商品ニーズはどんなものがありますか?
黒田:オフィス内にウェブ会議や集中作業に適したクローズド空間を構築できる個室型ブースのご注文が非常に多いですね。
我々の商品は「WORK POD(ワークポッド)」と呼んでいますが、昨年7月から発売し、今年の上期(1月~6月)で言えば、販売目標に対して250%の伸長と大変好調です。WORK PODは遮音性だけでなく換気性能に優れ、ウエブ会議や1人での集中作業に最適です。
ウェブ会議や集中作業に最適な「WORK POD」(写真提供/コクヨ)
結局、テレワークでなく会社に出社しても、いまは会社でもウエブ会議をする人が非常に多いですから、社内のいたるところでウエブ会議をしていては、音声がうるさくて仕事になりません。
そこでこうした個室型ブースの導入を急ぐ企業が一気に増え、企業の大小を問わず注文が殺到しています。特にワクチン接種が行き渡り、これから本格的に出社比率が上がってくると、ますます需要が増えていくと思われます。
そういう意味では、かつて私も営業を担当していた時期がありますのでよく覚えていますが、リーマンショックの頃はとにかくオフィススペースを削るとか、オフィス家具も中古品で十分ということで、我々がどんなにいいオフィス空間や働き方のご提案をしても、結果的には価格競争に収斂してしまったのとは隔世の感があります。
また、我々もこの10年余りでオフィス家具の作り方を根本から変えてきました。まず新しい働き方のご提案ありきで、その内容に沿ったデスクやチェアーの組み合わせをご提案していくという順番で、そのほうが、より高い商品価値として認識していただけます。
「10年でオフィス家具の作り方を根本から変えた」と話す黒田社長