庭仕事をするその表情はとても穏やか
森田さんの庭から始まった「こだいらオープンガーデン」は現在27か所が登録され、市外からも散策を楽しむ人が訪れるほか、新しく引っ越してきた人がオープンガーデンに魅了され、庭造りを始めることもある。
個人の庭に客が訪れ、主人はそれを歓迎する──こうした「オープンガーデン」は20世紀初頭のイギリスが発祥だ。オープンガーデンウォーク協会代表の森山みちこさんが解説する。
「1920年代のイギリスで、いまほど一般的でなかった看護師という職業を支援するために、美しい庭を一般に披露して入場料を集め、それを寄付しようというアイディアからオープンガーデンは始まりました。
日本に浸透し始めたのはそれから約70年も後。ガーデニングブームとともに知られるようになり、個人や自治体などが庭を公開するようになりました。通常は春や秋など、花が見頃を迎えるシーズンに期間限定で公開されることが多い印象です」
つまり、チャリティーの名の下に、自然を愛する人は誰でも大歓迎ということ。森田さんの庭にも、あちこちにイスやテーブルが配置され、ゆっくりと腰を落ち着かせて美しい花を眺めることができる。
ここでは庭で育てたつみたてのカモミールティーとクッキーのセットが200円で楽しめるが、売り上げはすべて福祉団体に寄付している。モッコウバラに覆われた木陰で飲むカモミールティーはリラックス効果を倍増させる。
「最初は無料で出していたのですが、お礼にお土産をくださるかたが多く、かえって申し訳なくなってね。皆さん、自由に歩き回ってからカモミールティーで一息ついています」(森田さん・以下同)
撮影/山口規子
※女性セブン2021年10月14日号