宮城野部屋に宿舎を提供してきた南蔵院(写真/共同通信社)
協会が批判する白鵬の言動については、こう擁護した。
「白鵬はサービス精神が旺盛なんですよ。(2017年の)九州場所で万歳三唱をやった時も、前日に白鵬が“優勝したら何を話せばいいか”と聞いてきたから、“(直前に日馬富士の暴行事件という)不祥事があったのでご心配をかけて申し訳なかった”と一言、話せばいいと伝えましたが、白鵬が場の雰囲気でそれ以上のことをやってしまった。会場は盛り上がったが、横審(横綱審議委員会)と協会が文句を言った。協会はファンに目を向けていないんですよ」
もちろん、白鵬の言動には賛否がある。ただ、林住職が熱心に語るのは、単に白鵬の支援者だからではなく、大相撲を愛するがゆえのことだろう。そうした支援者を失望させてまで、協会は、一体何に怯えているのか。
“白鵬の乱”は起きるのか
白鵬は宮城野部屋付きの「間垣親方」となるが、協会発表によれば、異例の“条件付き”での襲名承認となった。大相撲の伝統文化や規則、しきたりを守り、逸脱した言動を行なわないことなどを約束する誓約書への署名が条件となった。来年8月に65歳の定年を迎える宮城野親方(元前頭・竹葉山)から部屋を継承し、日本橋に20億円かけて新たな部屋を建設するとも言われてきたが、親方としての今後は不透明だ。
「協会執行部は白鵬が“第二の貴乃花”となって反旗を翻すことを恐れているのではないか。数字のうえで圧倒的な成績を残した白鵬を慕う力士や若手親方は少なくない。将来の協会を担う世代は、白鵬派と稀勢の里派に二分されると言われるほど。そうなると白鵬が、一門内の序列を飛ばして理事選に打って出た“貴の乱”の真似をする可能性もある。資金力が豊富なだけに、現実味はあるシナリオだ」(ベテラン記者)
過去の一代年寄は、出世が早い傾向があった。
「現役時代の実績が評価される面もあるし、普通は親方になってから“顔(現役時代の四股名)と名前(襲名した年寄株)”が一致するまでに時間がかかるものだが、現役名のまま親方になればその問題がなく、支援者や弟子を募るうえでも有利。ただでさえ白鵬は現役時代から内弟子を育てたり、相撲強豪校とのパイプを作ったりと、親方になった時に一大勢力を築けるように準備してきた。そんな白鵬が、さらに一代年寄によるメリットを享受するとなれば、協会執行部にとって脅威でしかないでしょう」(同前)