重苦しいムードがただよう中、会場の撤収作業も始まったところで、事態は急展開を迎えた。会場に戻ってきたおぼんが「もういっぺんやり直そう」とこぼんと握手を交わしたのだ。さらにおぼん・こぼんがその場で漫才を披露し、会場は大きな拍手に包まれた。そんな波乱万丈な結婚式に立ち会い、日高は「なにせ記憶が飛んでいる部分もあるので、オンエアを見て、『こんなことあったっけ?』と感じたところもあります」と明かす。
「帰り道、妻と何を話したかも覚えていません。8月でまだ陽が長い時期だったはずなのに、会場を出たときはもう暗くなっていて、『こんなに時間が経っていたんだ』とそこで初めて気づいたことを覚えています」(日高)
プロレスラーとして、人間同士のさまざまな感情のぶつかり合いを経験してきた日高。彼が思うに、なぜおぼん・こぼんは和解の道を選んだのだろうか?
「僕たちプロレスラーで言うと、タッグパートナーのような存在ですよね。タッグパートナーがスリーカウントを取れば、自分も勝者になれる。プロレスラーとして上がっていける。『相手のおかげで自分もこの位置に来られた』という感情は、プロレスに限らず、多くの人が人生で経験するものだと思います。
おぼん師匠の『心底嫌いじゃない』という言葉は、まさにその通りです。人間関係で溝が生じることは誰しもあります。僕だってあります。だからこそ、おふたりが和解したのには感動しました。いろいろありましたが、結果的に僕はすごい歴史的瞬間にいさせてもらえたんだと思います。ある意味、歴史の生き証人みたいな立場になっちゃった」(日高)
現役プロレスラーに「記憶が飛ぶ」ほどのプレッシャーを与えた結婚式。台本なしの“ガチ”のドラマで、『水曜日のダウンタウン』は4度目のギャラクシー賞受賞なるか。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)